160話だ ページ14
「やっと気付いたんだ」
「!!?」
目を見開く私は見上げようとするが強く抱き込まれそれはかなわなかった。
「朔」
甘い声を耳元で囁かれビクリと肩が跳ねる。
かあぁ、と顔がだんだんと赤くなるのを感じた。
「ヒ、……バリ……?」
「何」
「おまっ……まさか……聞いて、た?」
「……」
ヒバリは何も言わずにニヤリと笑う。
それは私の告白を聞いていたという回答も同然で……
「う、うわぁああ!!!」
ヒバリと距離を取ろうとする私。
けれどヒバリはそれを許してはくれない。
「は、はなっ……離せ!!離せぇえええ!!!」
「ちょっ……朔、暴れるなっ」
知られたことによる羞恥心と断られるのではという恐怖。
二つの感情が混ざり合い頭の中でパニックを起こす。ジタバタと暴れる私にヒバリが慌てて押さえにかかった。
「朔、落ち着いて。一体どうしたのさ」
私を気遣うような声に視界が滲み涙が溢れてくる。
ピタッと動きを止める私はヒバリに抱きついた。
油断していたのかビクッと肩を震わせるヒバリ。
大胆な行動をとったことについては自覚している。
けれどそれ以上に怖くて……体が震えている。
嗚咽をもらしながら私はヒバリに訴えた。
「私を嫌いにならないで」と。
「私から、はなれっ、ていかっ…ないでっっ」
キュッっと私はヒバリのパジャマを掴む。
上質で触り心地のいいパジャマだ。だからこそ私の涙と鼻水で濡らすわけにはいかない。
なんて頭で考える私は自分でも不思議に思うくらいに何故か冷静で……
あー……ほんと私。何やってんだろ。
泣いてヒバリに縋りつくなんて格好悪ぃな。
……ヒバリ…失望、したかな。
もしも怒っていたら謝ろう。戸惑っていたら話をもみくちゃにして誤魔化せばいい。うん、そうしよう。
私はヒバリの表情を確かめるため、青ざめながらも恐る恐るヒバリを見上げた。
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作者名:ゆっくりノワール×夜野兎 x他1人 | 作成日時:2017年12月3日 16時