37 夢の中（百視点） ページ37
闇の中
俺はただただ その場を漂う
まだ意識はある
まだ Aのことを 憶えている
それだけが救いで それだけが俺の存在を保っていた
Aは無事に・・・ 帰れただろうか？
Aはいつか・・・ 俺を忘れてしまうだろうか？
不安はより周りの闇を濃くしていった
ああ・・・ いかんな
A・・・ A
このまま俺は消え去るのかと思ったとき、ふと 誰かに名前を呼ばれた気がした
「 −− さん」
・・・？
気のせいか？
こんな闇の中で 一体誰が俺を呼ぶと −−−
「尾形さん」
−−！
どこかで 誰かが 確かに俺を呼んでいた
そして その声には覚えがあった
その声に導かれるように 意識がはっきりした瞬間
急に視界が開け 目の前に青い空が広がった
「！ ここは・・・？」
俺は森の中に寝そべっているようだった
そして そんな俺を不思議そうに覗き込んでいる 髪の長い女が傍にいた
着物を着て 長い髪を後ろでひとまとめにしている 見覚えのある女の姿
−− 忘れるわけのない女が じっと自分を見下ろしていた
「・・・A」
驚いたように女の名を呼ぶと 女はさもおかしそうに自分を見た
「尾形さんは ちょっと時々無防備すぎません？
私がここまで近づいても 気づかないなんて・・・ 兵士失格ですね？」
そう言って クスクスと楽しそうにほほ笑む目の前の女
・・・そんなはずはない
死んだA
前世のA
もう見ることはないと思っていた あのときのお前の笑顔がそこにあった
−− 探しても 探しても もう手に入らなかった お前の笑顔
「そういえば 私の傍で寝てるときの貴方は どこか無防備でしたよね
一度 自分でもビックリされていたことがあったでしょう？
疲れてたんですねって思っていましたが・・・ そうですか
尾形さん 私の事好きだったんですね」
「びっくりです」と さも驚いた風もなく 女はけらけらとおかしそうに笑う
俺はその光景を じっと地面に寝そべりながらも 見続ける
動揺していても 疑っていても その女から目が離せない
体が石のように動かない。 動けない
手を伸ばそうにも そんなことさえ 今の俺にはできなかった
まるで地面にはりつけにされているような自分を ひどくもどかしく思う
「お前は・・・ ”誰”だ？」
声がでることだけが 唯一の救いだ
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ソラノ(プロフ) - 有難うございます。アニメ3期もはじまったのでこっちも書かねばと思いながら停滞していてすいません。 (2020年10月16日 22時) (
レス) id: 2385099feb (このIDを非表示/違反報告)
イロナシ - もう、ソラノ様が書くお話めっちゃ好きです！更新を楽しみにお待ちします！ (2020年10月11日 19時) (レス) id: c1ed0d601a (このIDを非表示/違反報告)
ソラノ(プロフ) - 走り書きなのでまた色々書き直すかもですが、とりあえず「日常1」終わりで、「日常2」をまた書こうと思っています。それこそ本当に小ネタというか勉強見てもらうとか、学校とか修学旅行とか、なんか思いつくままに！！！ (2020年2月22日 1時) (レス) id: 6946561589 (このIDを非表示/違反報告)
ソラノ(プロフ) - もうすぐで50！とりあえずこの話はこれで終わって本当に日常編を書こうと思う。尾形さんに勉強見てもらうとか、修学旅行とか買い物とか色々書きたい (2020年2月2日 11時) (レス) id: 6946561589 (このIDを非表示/違反報告)
ソラノ(プロフ) - うん、しばらく書いていなかった分 一気にＵＰしました。でも本当に一気に書いたので所々また書き直すかも・・・です。すいません (2020年1月18日 16時) (レス) id: ae51a2c0d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソラノ | 作成日時：2019年11月4日 21時
