１４８話 ページ6
風が強く吹いていた夜、バロルの家の扉を叩く者がいた。
扉を開けると、そこには息を切らせ、何かを大事に抱えたコルニがいた。バロルはコルニを家にあげようとするが、コルニは首を横に振り、抱えていた何かと手紙を渡す。抱えていた何かをよく見ると、それは赤子だった。コルニは赤子の頭から頬を優しく愛しそうに撫でると、バロルに「頼む」と言い急いで家から離れた。
静かに寝息をたてている赤子を大事に抱えながら居間へ戻る。手紙には赤子のこと(コルニの子供であること、名前など)、自分が今追われていること、すぐに小樽から指定した場所へ行ってほしいということが書かれていた。
バロルは手紙と赤子……Aを交互に見ると、顎に手を当て、しばらく考える。
そして、職を捨てる選択をした。
二日後、バロルはある家の門を叩いた。そこは、コルニに指定されていた家で、コルニの妻(日本人)の古い知り合いの家だった。
「その家に、私と祖父が住むことになるんですね」
なんとなく理解はできた。神様は静かに頷くと、眉間に深い皺をつくる。
「だがお前の育ての父がいまいち納得しなくてな。お前を自分たちの子供、つまり道場の跡継ぎにしてもいいのなら。と条件を出した」
祖父は条件を受け入れ、私と祖父はその柔道家の家族となったそうだ。
「バロルが何を思っていたのかは、聞かなくて良いのか」
神様は何故か申し訳なさそうに私を見る。
「祖父は最後まで私を愛してくれてたんですよね？それなら聞く必要はありません」
「……そうか」
「何か、他に聞きたいことはあるか」
神様が私に聞く。
「じゃあ、何故わざと祖父は片言の日本語を使っていたんですか？」
使えるのなら片言にしなくてもいいのでは？神様は深くした眉間の皺をパッと無くす。
「あぁ、それに関しては“なんとなく”じゃよ？」
「え？」
(“なんとなく”なの、じいちゃん……)
「だってそっちの方が外国人感出るし」
「理由が軽い!？」
何げに一番疑問だったモノの答えが、“なんとなく”って……
「ホレ、もっとあるじゃろう。時間ないし」
神様の指差した方向を見ると、遠くがうっすらと夜明けのように白く輝いている。ここクリーム色の空間なのに。
「時間制限とかあるの!？」
「いや、だって気を失ってる間だけじゃから」
「えぇ……」
他にも聞きたいことはあったが、急いで１つにしぼる。
「じゃあ、_________」
神様からの回答を聞くと、またあの浮遊感が私を襲った。
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華洛 - いちにちでよみきってしまいました！すごく面白かったです！更新待ち続けます！ (2022年5月19日 23時) (
レス) @page34 id: 9cd2997260 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 更新待ってマス！！ (2022年3月24日 22時) (レス) @page34 id: df15541a66 (このIDを非表示/違反報告)
名無し95348号(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました！更新待っています！！！！ (2020年9月22日 7時) (レス) id: ca8cd08e4b (このIDを非表示/違反報告)
マリンバ - めっちゃ好きです！(唐突)大変だとは思いますが、更新頑張ってください！ (2020年3月19日 15時) (レス) id: dd11928539 (このIDを非表示/違反報告)
境 - このお話好きになってしまいました！！！！更新頑張って下さい！！応援してます！！！！！！ (2020年1月17日 21時) (レス) id: 7788c7aee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海豹 | 作成日時：2019年2月17日 1時
