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152話 ページ11

足音が遠ざかり、私は大きな溜め息をつく。
「わりとガチな勧誘だったな……」
鶴見中尉が同じ空間に居るだけですごく気を張るのに、あんな重い提案されるなんて。
(胃に穴あくわ……こんなの)
服の上から腹を擦る。
「……ん?」
服を捲り、自分の腹に包帯が巻かれているのに気がつく。包帯の結び目をほどき、今はもう塞がった銃傷を見る。
「胃の前に体に穴あいてたわ」

(あれ、アシリパちゃんから貰ったマキリ、どこ行った?)
今着ている服が変わっているのだ、ポケット入れたマキリが入っているわけない。近くのテーブルに置いてあった私の鞄を自分に手繰り寄せる。
「あった……!」
丁寧に鞄の中にしまわれていたマキリを手に取り、鞘から少しだけ抜く。
(アシリパちゃん、もう港に着いちゃったかな)
自分から「側にいる」と言ったくせに“また”肝心なときに離れてしまった。
(約束も守れずに、なにが親友だ……)
唇を強く噛み、マキリを持っていた手に力が入る。刀身を鞘にしまい、服のポケットに入れる。ベッドからゆっくり足を出し、ベッドの側に備えてあった履き物に足を入れる。立ち上がると、一瞬頭がクラッとした。

途中ですれちがった人に医務室の場所を聞き、その部屋の前に立つ。軽く扉をノックすると中から家永さんの声が聞こえる。
「失礼します」
なるべく音をたてないように扉を開ける。
「Aさん!良かった、目が覚めたんですね」
「はい、御心配おかけしました」
家永さんに勧められ、近くにあった丸椅子に座る。家永さんはカルテを手に取り、私に向き直る。
「気分はどうですか?」
「いつもと変わりません」
「腹部に受けた銃傷は痛みますか?」
「いいえ」
「頭痛や息苦しいなど、気になる症状はありますか?」
「さっき立ち上がった時、一瞬頭がクラッとしました」
受け答えが終わると、家永さんは万年筆を唇の下に当てる。
「軽い貧血ですね。きちんと食事を取って安静にしていて下さい」
「はい、分かりました」
家永さんに頭を下げ、ドアノブに手をかける。
「そうだ!今から杉元さんの所へ行きますですけど、Aさんも一緒に行きませんか?」

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華洛 - いちにちでよみきってしまいました!すごく面白かったです!更新待ち続けます! (2022年5月19日 23時) (レス) @page34 id: 9cd2997260 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 更新待ってマス!! (2022年3月24日 22時) (レス) @page34 id: df15541a66 (このIDを非表示/違反報告)
名無し95348号(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました!更新待っています!!!! (2020年9月22日 7時) (レス) id: ca8cd08e4b (このIDを非表示/違反報告)
マリンバ - めっちゃ好きです!(唐突)大変だとは思いますが、更新頑張ってください! (2020年3月19日 15時) (レス) id: dd11928539 (このIDを非表示/違反報告)
- このお話好きになってしまいました!!!!更新頑張って下さい!!応援してます!!!!!! (2020年1月17日 21時) (レス) id: 7788c7aee9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海豹 | 作成日時:2019年2月17日 1時

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