ー参ー ページ3
『(数が多い……)』
廃ビルの中は予想以上に呪霊の溜まり場となっていた。ここは休憩所じゃないんですが。
一体一体が飛び抜けて強いわけではなく、いても2級呪霊の弱い方なので負けることはないが、如何せん数の暴力というか。
ちらりと伏黒と虎杖を盗み見ると、着々と呪霊を祓っていっており、目に見えた疲れは感じられない。
流石は次の世代を背負っていく化け物達だな、なんて心の中で笑いながら傘を振った。
「あらかた倒したな」
そういった伏黒が術式を解くと式神が消える。
一方の虎杖は興味津々な様子で少女の傘を指さした。
「それ、呪具だったんだ。
だからずっと持ち歩いてたのかぁ。」
少女は頷いて、虎杖の方をじっと見つめる。
何か言いたいことがあるのか？と虎杖が声をかけようとした瞬間、後ろの壁が勢いよく壊れた。
数え切れないほどの足がついたエイリアンのような呪霊がこちらに向かってくる。恐らく親玉の登場だろう。
『(___？)』
確かに準1級か1級には当たりそうな呪霊だが、どことなく違和感を感じた。
すぐに体制を立て直して伏黒が呼んだ式神と虎杖が一直線に呪霊に向かっていく。
呪霊からは不自然なほど呪力が少ししか感じられず、一瞬頭を捻り_
『(あ、分かった。これ罠だ)』
咄嗟に虎杖の服を掴むと逆方向に引き寄せて投げる。
式神は……ごめんね。
頭の中で謝罪を述べながら傘を盾のように体の前で持った刹那、伏黒の式神が呪霊に当たる。
瞬間、大きな爆発が起こった。
煙が収まっていくのと同じくして伏黒を確認すると、吹き飛ばされてはいるが目立った怪我はなさそうである。虎杖は私の後ろにいたから大丈夫だろう。
1級らしき呪霊は自爆したために木っ端微塵になっているが、その後ろ、壊された壁の向こうにそれはいた。
『(あれが本当の親玉か)』
絶妙に人型を保ったその呪霊は、今までの呪霊とは雰囲気も何もかも違った。
意志を持っているのだろう、ニマニマと気味の悪い笑みを浮かべてこちらを窺っている。
恐らく特級呪霊。
『(多数の呪霊を盾にして潜伏に優れていた…窓でもここまでは確認できなかったのか。
しかしこんな危ないのに高専の一年生を派遣するってのは…
…なるほど？だから私が必要だったってこと？
とりあえず今度良いお寿司奢ってもらおうかな。)』
五条が言ってたことを思い返しながら、私は傘をとりあえず虎杖の方へ投げて伏黒の方を指さす。多分無理だろうけど意図を汲んでくれ。
呪霊の方を振り返ると私に拳を振り上げている。せっかちだなぁ。
左手の甲に右手を重ねて組み、声の出ない口を動かした。
〈術式反転・葵〉
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梅枝(プロフ) - 氷雨霰さん» 返信が遅くなってしまい大変申し訳ありません。誤字指摘いただき大変助かりました、ありがとうございます！ (2022年3月25日 22時) (
レス) id: 810501db12 (このIDを非表示/違反報告)
梅枝(プロフ) - ぱるむさん» 返信遅くなってしまい大変申し訳ありません。そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます！ (2022年3月25日 22時) (レス) id: 810501db12 (このIDを非表示/違反報告)
氷雨霰 - すっごい面白かったです！！あと、わざとだったら本当に申し訳ないんですが…題名の「呪術士」、もしかして「呪術師」の変換ミスかもです！ (2020年12月13日 1時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむ - めっちゃ面白いです！応援してます！頑張ってください！ (2020年12月9日 21時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅枝 | 作成日時：2020年11月24日 0時
