拝啓、人殺しの君へ。【SEVENTEEN】

…無限ループ.You ページ5

「はぁ、っ、……はぁっ、……」





さっきより吐き気と目眩、頭痛が酷くなってきてるのを感じながら広いマンションを駈け、タイミング良く空いたエレベーターへ飛び乗る。
ふらつきながら、辛い身体を壁に持たれ掛かる。
しゃがみ込むが、体が宙に浮いた感じがして気持ち悪い。

これも全部、彼らに近づいたせいだ。





「何を勘違いしていたのだろ……、私は」





ううん、彼らは悪くない。

弱い自分を庇い、責任転嫁しただけ。

そう簡単に人は変われない。

弱虫の私は、弱虫のまま。





「馬鹿だな………っ、ほんと…」





人に手を差し伸べられた事がない。

向けられるのは冷たい視線と凍てつく言葉。

何度も何度も私を切りつけ傷つける。

毎晩のようにうなされ、過呼吸を繰り返す。

『アレ』からもう20年も時が経つのに。

チーン、っと鐘が鳴って1階に着いた事に気づき慌てて立ち上がり何事もなかったかのように歩みを進める。
幸い周りに人は居らず不審にも思われていない…多分。





「はぁ………考えすぎてしんどい……。……そうだ、気分転換に久しぶりに会いに行こう」





私の事を信じてくれるあの人に。

私の過去を知るあの人に。

仮面を被った表情は崩れることは無かったが、どこか少し足取りが軽くなった気がした。

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