愛され願望少々多め【黒子のバスケ】

全部、偽物。13 ページ13

side：A






文野 A。ただいま、まあまあな危機に追われています。


スルーっていう手もあるけど、毎日のように挨拶しているわたしがしないっていうのは、麻奈たちも不審に思う。

えええーい、勇気を出せA！ 伊達にこの14年、生きてきたわけじゃないだろ！！！


でも一応朝に会って挨拶したんだよなー。桃井さんからしたら変じゃないかな？なんて心配しながら言った。



「おはよーっ、桃井ちゃんっ！」
「っ、文野さん！おはよう！」



ふひー、セーフ。……まあそうだよね。昨日今日の仲だし、そんな急激に距離が縮まるなんてこと………ってあれ！？

わたしおかしくない！？



麻奈たちにばれたくなかったのに、ばれなかった瞬間へこむとか、矛盾してない！？

うがあああああああ！！！！！ わたし、めっちゃ変な人じゃん！！！



「ねえ、なんか今日の桃井。変じゃなかった？」
「え、いつものと変わらなかったと思うけど？」
「ったくAってば鈍いわー。 なんか桃井、Aのときだけ、ちょっと笑顔だったのよ！」
「え？ まじですか？」



急に始まったと思った麻奈の内緒話は、わたしに爆弾を投下した。


笑顔だった？ 桃井さんが？



「もしかして桃井、Aにつけこもうとしてんじゃない？」
「あー、Aばかだから。」
「あれー？ なんか悪口が聞こえたぞー？」



いかんいかん、思考が停止してしまった。それでも話を聞き逃さないわたしすごくなーい？


なんて心の中でふざけながら、わたしは笑っている友人たちの会話を、わたしも笑って聞いていた。



心の中にある、へんな蟠り(わだかまり)を感じながら。

全部、偽物。14→←全部、偽物。12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す