全部、偽物。11 ページ11
side:A
「うううー…さっむ………」
わたしの部活は帰宅部だ。
なので、特に焦って出る必要はないのだが、今日は委員会の仕事のためはやくいくのだ。
先生、本当恨むわ。まあ、家に居たくなかったから、別にいんだけどさ。
逆に助かったかもしんない。
「っくしゅ!うううう、にしても寒いなあ。」
「っ………文野さん!!」
くしゃみをして身震いをしたら、大きな声で名前を呼ばれた。
えっ?と振り向いたら、後ろにいたのはマフラーを巻いている可愛い女の子。
今日は寒いはずなのに、頬を紅潮させながらわたしに挨拶をしたのは、桃井さんだった。
隣には、青い髪の男の子、青峰くん。わたしをジロリと睨んでる。
なんで急に…?わたしは驚いて声が出なかった。
「もー、青峰くん?ただでさえガングロなんだから、そういう目はやめてよね!」
「ガングロかんけえねえだろ。てかさつき、さみいんだからさっさといくぞ。」
「っえ、で、でも…………」
いいから行くぞ、と促されて、半ば引きずられる桃井さん。
わたしは体が動かなかった。
でも、遠ざかっていく桃井さんを見て、思わず口が開いていた。
「おっ、おはよっ、う!桃井さんっ!!」
なんだよ、『おっ、おはよっ、う』って。コミュ症かわたしは。
段々と、頰が赤くなっていくのが自分でもわかる。
ああ、なんてあついんだ。さっきまではあんなに寒かったのに。暑い。熱い。
わたしは自分の利き手で軽く顔を仰いだら、桃井さんが嬉しそうな顔をしてこっちを見ていた。
「おはよー!!!!!ふーみーのーさーん!!!!」
「ばっかさつき、声がでけーよ目立つだろ。」
「いった、もうなにするのよ青峰くん!」
ほんと…声がでかいよ桃井さん。恥ずかしいなあ。
でもなぜか、嬉しかったんだ。わたしの目を見て挨拶する桃井さんに。
ああ、わたしは、文野 Aはここにいるよ。
でも、やっぱりわたしは、人を妬む生き物らしい。
いいなあ、桃井さん。あんなに思われている、幼馴染みがいて。
かっこいい、幼馴染みがいて。
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しずくちゃん(プロフ) - 1ちゃんさん» 1年も経ってる事実に驚きました!もうそんなに経っていたのか!そろそろ更新しないとですね!!がんばるぞぉい!!このしょうせつをわすれないでくれてありがとうございます! (2020年5月12日 2時) (レス) id: 2e94dfd782 (このIDを非表示/違反報告)
1ちゃん - 1年程たっていますが、もし宜しければ更新楽しみにしてます! (2020年5月9日 1時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
ななせ菜那(プロフ) - それは良かったですっいつまでも待ってますね(^^) (2019年2月18日 0時) (レス) id: 6f512e0d90 (このIDを非表示/違反報告)
雫@更新おそめ(プロフ) - ななせ菜那さん» ほんとですか〜!!すごい嬉しいです!!しかもファンをひとりゲットしてしまった…!!更新頑張ります!応援ありがとうございます!ななせさんの期待に応えられるように頑張ります!! (2019年2月15日 3時) (レス) id: 6d0f7297ef (このIDを非表示/違反報告)
ななせ菜那(プロフ) - 私、こういうの、大好物ですっ そして作者さんのファンになりましたぁ! 更新頑張ってください。応援してます。(^-^) (2019年2月14日 23時) (レス) id: 4cb24dc725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫@更新おそめ | 作成日時:2019年1月14日 0時