愛され願望少々多め【黒子のバスケ】

全部、偽物。２ ページ2

side：A




桃井さつき。
彼女はバスケ部の敏腕マネージャー。とても美人で男子からは絶大な人気を誇っている。

そんな彼女は、良くも悪くも女子の噂の的だった。



そりゃあ、ただ普通にマネージャーしてたら、誰も興味なんて持たない。彼女は違うんだ。



キセキの世代。それは、誰もが知ってる話題。10年に一度の天才と呼ばれる逸材が5人も揃っていた。



バスケができてかっこいい彼らはいつでも女子の注目の的だった。だからみんな妬むんだ。



そんな彼らのそばにいる、お姫さまを。



今日だって。誰かがその名前を言うだけで、話が広がる。



「ねえ、４組の山里くん。桃井さんと、キスしてたって！」
「え！？山里くん、彼女いなかったっけ？」
「なんか桃井さんが、彼女と別れてくれたらキスしてあげるって、言ったみたい。」
「うっわ。どんだけ最低なんだよ。」



彼女が標的な理由は、きっと、可愛いから。それだけだと思う。


ほんと、不憫。


でも、大抵こういうとき、全員が思うことがある。




あー、わたしじゃなくてよかった。




この流れからして普通、最低なのは山里くんだと思うけど誰もそんなことは言わない。
無論、わたしだって。


生き方下手だな、桃井さんは。頭いいのに、なんでわかんないんだろ。



だけど桃井さんは、女の子の友達を作ろうとはしない。それが余計、女子を苛立たせる原因なんだと思う。


わたしも正直、イライラする。女子には嫌われてるのに、男子には好かれる。



もし、女子に好かれるか男子に好かれるか、どっちにする？なんて質問がきたら、わたしはなんて答えるのだろう。



「あっ、桃井さん。おはよー！」
「桃井ちゃーん！おはよう！」
「さつき！おはよう！！」



みんな、表面上は仲良くしている。


だって、彼女に好かれれば、そのバスケ部の人たちに好かれるかもしれないから。

バカらしいって思うんでしょ？きっとそう。わたしだってそう思うもん。



「おっはよ、桃井ちゃんっ！」
「文野さん！おはよう。」



それでも挨拶しちゃうのは、わたしだって、愛されたいから。


女子は、いつだって計算してる。どうすれば好かれるか。嫌われないか。裏切られないか。


だけど、どれが正解なのか、わたしには全然わからない。






でも現時点では、これが正解だと、わたしは思う。

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