122 うぷぷ ページ28
「全くなんなのよ急に！信じらんない！とち狂ってるんじゃないの！？」
久々知に火薬を貰えなかったAは、大層ご立腹な様子で忍術学園の廊下を歩く。
そのまま不機嫌な状態で真っ直ぐくのたま長屋へと向かうと、そっと自身の部屋へと入り、荒々しく襖を閉めた。
スパン！と不機嫌さが伺えるほどの大きな音に、たまたま通りかかったシナが驚き、その部屋にかけてある名前札を見つめる。
確かにそこには「高嶺A」と書いてあり、シナはそれを見てくすりと笑った。
「気合入ってるわね」
さて？それは一体どう言うことなのか？
火縄銃の実践テストの件について？
まあ、少なからずそれも事実なのだが、シナが言っていることはそれのことではない。
では、なぜシナがこう言ってご機嫌にその場を去っていったのか。
答え合わせといこう。
・
部屋の中、Aは部屋の明かりが灯っていないまま、自身が荒々しく閉めた襖にずるずると寄りかかる。
そのまましゃがみ込むと、「はあ〜」ととびきり大きな溜め息を吐いて、肩を震わせた。
「何……あいつの反応！」
脳裏に浮かぶのは、火薬庫で顔を真っ赤にした久々知の姿。
Aのことを受け入れようとしたのか、目をぎゅっと閉じて待っているあの姿。
……本当に滑稽だった。
「っぷぷ、いけないいけない。気を引き締めていかなきゃ」
頬を二、三回叩き、再度表情をしめるA。
だが、また思い出した様で「ぶふっ」と吹き出すと、震える肩を抱き寄せながら、声を殺して笑った。
何故Aがこうも笑っているのか？
それには久々知を含む五年生が、自身の房中術のことを知っていることを知っているからだった。
先日、シナから受けたくのたま五年生の実践テスト「同学年の忍たまを欺け」と言うもの。
一般人なら兎も角、相手は忍たまの五年生。難易度は過去一なのではと友人は言った。
……だが、くのたまの優等生、高嶺Aはどうだろうか？
その話を聞くなり、「どうせ騙すなら、いっそのこと思いっきり馬鹿を晒させてやろう」と思い立ったのだ。
そして、Aは五年生の誰かが廊下を歩いている時を狙い、わざと聞こえるように「房中術」という言葉を発したのだ。
訂正すると、房中術の授業があるというのは真っ赤な嘘。
そもそも仮にあったとして、誰が聞いているかも分からない廊下でそんなことを言う程、Aは頭のおかしいやつではない。
そう、今までの全ては「同学年の忍たまを欺く」為だったのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 207人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Lynn - タジロさん» Lynnです。今見ました、戸部様を出してくれてありがとうございます！内容的には面白かったですし、これからもこのシリーズ、続いて欲しいと思ってます (8月31日 15時) (
レス) @page45 id: b7c4ae609e (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - タジロさん» はじめまして！初コメントがこんなのですいません…作品は愛読しています！新野先生だったんですね…医学の心得があるからでしょうか？これからも応援しています！ (8月19日 23時) (レス) id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
タジロ(プロフ) - めろんぱんさん» はじめまして、コメントありがとうございます！ですね。高嶺の言っている通り房中術は授業で一度限りですが終えております。お相手は高嶺ちゃん資料集に書きまとめましたので顔ありの夢主が地雷でなければ是非ご覧ください……！ (8月19日 23時) (レス) id: bcff2be84f (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - 主人公ちゃんは房中術をやったことがあるんですか…？ (8月19日 23時) (レス) @page41 id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
Lynn - タジロさん» タジロさん、仕事の方も更新の方も体に気をつけて頑張って下さい。昨日はなんか申し訳なかったです。 (8月6日 16時) (レス) id: 3d10a0695d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：タジロ | 作成日時：2023年5月10日 2時
