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フ:温かい場所 ページ5

自分の生い立ち、家族のこと、どうして公園にいたのか。2人は何も言わずに黙って聞いてくれていた。


すると、下から「2人とも帰ったわよー」と女性の声が聞こえてきた。
続いて「いないのかー?」と男性の声とともに階段を上って足音がこちらに近づいてくる。


「あら、いるじゃない。帰ったんだから返事ぐらいして…」


扉が開いたと同時に私たちは一斉に扉の方を見た。
そこには彼らに面影がある女性がきょとんとした表情で私たちを見つめていた。


互いに無言で見つめて数分。


先に動いたのは女性だった。
女性は勢いよく双子の胸倉を掴むと、鬼の形相で双子を睨む。


「アンタたち、一体何やらかしたの!?」


「そこっ!?母さん落ち着けって…」


「話を聞いて…」


「これが落ち着かないわけないでしょ。見ず知らずの女の子を部屋に連れ込むなんて、そんな子に育てた覚えは…」


「あ、いや、これは違う。とにかく違うんだって!」


「ホントに話聞いてよ母さん!」


会話からして、どうやらこの女性は2人の母親であることは間違いないみたい。
だが、母親の方は何か勘違いしているみたいで一方的に2人を怒っている。


「一体何を騒いでいるんだ?」


扉の方から今度は男性が顔を出すが、私たちを見た途端に男性も硬直するのだった。


この後、もう一人の女性が来るまで変な空気が漂ってしまっていた。


どうやらこのウチは5人家族らしい。さっき私にご飯を作ってくれたのは叔母さんみたいだ。
無事に2人の誤解が解けたのはいいのだが、問題は私の方。


今までのことを説明すると、2人のご両親は深刻そうな顔をして私を見ていた。


「捨てられたとはいえ、さすがにこのままだと色々まずいだろ」


「やっぱり、一度警察に相談したほうが…」


私のことを考えて言ってるんだと思う。でも、私はあの家には戻りたくなかった。
それを拒絶するように私を懸命に首を横に振る。


私の様子を見てか、2人の両親は何も言えなくなっていた。


捨てられたとはいえ、今後のことは何も考えていない。
警察に相談なんてしたら、あの家に戻されるかもしれない。いや、反対にそれが大事になってしまったら、どんな目にあわされるか。


2人に助けられたとはいえ、これ以上迷惑をかけるわけにもいかない。
それなら、大人しく警察に相談した方が…


「ねぇ、少し提案があるんだけど」


緊迫した空気を破ったのは彼らの叔母だった。

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フウカ(プロフ) - 星猫さん» 長らくお待たせいたしました。更新しました。 (2020年10月5日 20時) (レス) id: 80abe09472 (このIDを非表示/違反報告)
フウカ(プロフ) - 星猫さん» 分かりました。今日中には更新致しますので。 (2020年10月5日 15時) (レス) id: 80abe09472 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - フウカさん» 弟のpcを貸してくれました。叔母さんも一緒にいるです。 (2020年10月5日 13時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
フウカ(プロフ) - 星猫さん» わかりました。ちなみに、叔母さんという単語が出てきたんですが、叔母さんも一緒にいるってことですか? (2020年10月5日 12時) (レス) id: 80abe09472 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - フウカさん» 水瀬組の家庭環境は普通で安定なんです。 (2020年10月4日 23時) (レス) id: dba8a79b51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星猫&フウカさん | 作者ホームページ:http naru1  
作成日時:2020年10月3日 19時

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