【銀魂3z】失望しないで高杉君 (ページ13)

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囚人ページ13

「晴れた、夏の日の海辺の部屋が良いわ。海を見ながら、鳥の鳴き声に耳を傾けながら、眠るように還りたい」

そして"歩いて"張られたガラスのそばまで行き、それに触れてため息をついた。

「いくら空が見えたって、届かないんだもの。私は海が好きなの」

―――事故の後、両親は姉の様子を見に来ることはほとんどなかった。
通院にも一度も付き合わなかった。そのころに新たな姉の専属の使用人になった天野が代わりに付き添い、病院側から勧められたリハビリを受けることを姉と天野を含む少数の使用人のみで決めた。
だから姉の足が日常生活を送れる程度に回復していることを両親は知らない。

それでいい、と姉は言っていた。

『だって、私が歩けるようになったら、これまでのことって何だったのって話じゃない』

『なんで、Aは真面目なフリさせられてるのって話じゃない』

『なんで、私は父様と母様に見捨てられたのって話じゃない』

そういうわけで、私達姉妹は秘密を抱えて生きていくことになった。
それなら、私は秘密を秘密にしたまま姉がどのようにしてこの牢獄から脱出するかを考えなきゃいけないわけだ。
また難問だな。

感傷的な雰囲気に耐えられなくなった私は「私は川の方が好き」と的外れな返事をした。
それに対して姉は力なく笑った。

私達はまるで囚人だ。
でも、私達が一体何をしたというのだろう。