―失声症― ―にのあい―part１４ (ページ27)

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借金は全部返済された

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ずっとここにいていいと言われた

一生好きに使っていい、と……

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雅「……」

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本当にいいのかな？そんな楽しても……

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実感が湧かない。借金がなくなった事も

この生活がもうすぐ終わる事も―――――…

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智「雅紀くーん。もうすぐご飯できるから

２人を呼んできてー」

雅『うん』

和「あ、僕もお供するよ」

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和也と一緒に２階に上がって

まずは松本くんの部屋のドアをノックしようとした

その時、中から話し声が聞こえてきた

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和「電話中っぽいね……」

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生田くんと電話してるのかな？

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潤「……はい、すみません

はい、わかりました。失礼します……」

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電話が終わったタイミングを見計らって

「入るよー？」と和也が声をかけた

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和「潤くーん。ご飯の時間だよ」

潤「……ん。了解」

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松本くんはやや浮かない顔をしたまま

部屋を出て１階へ

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和「どうしたんだろうね

つーか最近潤くんってよく外出してるよね？」

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あ……そっか。モデルデビューの事、まだ知らないのか

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雅『和也こそ、よく出かけてるじゃん』

和「……うん。母さんの所に」

雅『お母さん、具合悪いの？』

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和也は「いや……」と言って少し言葉を濁した後

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和「ここだけの話

僕の母親は精神的な病気を患って入院してるんだ」

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精神的な病気……。そういうのドラマの中だけの話だって

思ってた

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和「心の弱い母親でねぇ

ま、母親が精神的に弱った１番の原因は僕だけど

僕……中学の頃、不登校になった事あるから」

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サラッと和也は他人事のように呟いた

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和「僕って暗いでしょ？

あっという間にいじめの対象になっちゃって

そのせいで母さん……悩んで、精神的に病んで」

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俺は暗いとか一度も思った事ないけどな

むしろ和也はみんなの盛り上げ役だと思うけど

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和「てゆーかごめんね。暗い話ばっか

雅紀って話しやすいから、つい話しちゃう」

雅『いえいえ。あ、そうだ

和也って大ちゃんとはとこなんだよね？』

和「あぁ、うん。そうだよ

実は智とは昔からの付き合いなんだ」

雅『大ちゃんって何者なの？』

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借金をサラッと全額返済する程の財力があるんだもん

ただ者じゃないはず

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