―失声症― ―にのあい―part１４ (ページ3)

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■―３９３― ページ3

潤side

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慌てて階段を駆け上がった

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潤「と、とうとう……下の名前、呼んだ……」

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カァっと

一気に恥ずかしさが込み上げてきた

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相葉呼びが強く定着してるから

今更下の名前に切り替えるって……非常に照れくさい

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潤「なぁ……智ー」

いつもの調子でノックもなしに智の部屋に入ったら……

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智「あ……潤……」

潤「……」

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智が何を慌てて後ろに隠した

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潤「……今、何隠したの？」

智「……」

潤「もしかしてヤバイもん？」

智「……これさ、見てよ」

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そう言って智が見せてきたのは１枚の紙切れ

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潤「えっ……これ……」

智「……和室のタンスから出てきてさぁ」

潤「……何で、あんたがこれを？」

智「知らないよ。あのタンス、じいちゃんのだし」

潤「何で智のおじいさんがこれを……」

智「わからないよ……」

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智は「意味わかんない……」と言って

頭をかいた

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潤「てゆーか智……何かあっただろ？」

智「えっ……」

潤「ずーっと浮かない顔してる……」

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智は露骨にわかりやすい。特に悩みを抱えてる時とか

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智「……何でもないよ」

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ほら

結局、誰にも相談しようとしない

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潤「あっそ。あ、この本見せて」

智「う、うん……。いいよ……」

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こういう場合は問い詰めても話してくれない

だからあえて追求しない

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床に転がっていた本を手に取り、ベットに座った

本を読む俺を見つめながら智が

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智「……あんな事……言えないよ……」

と、呟いてるのが微かに聞こえたが

気づかないフリをした

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