―失声症― ―にのあい―part１４ (ページ19)

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潤side

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潤「でも、行く宛てがなくて

正直すっごい困った」

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家を出て、真っ先に斗真の家に行った

斗真は３日程は何も言わずに泊めてくれたけど

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斗真『おい潤、もう家に帰れよ

親が心配してるんじゃないの？』

潤『あの２人は心配なんかしねーよ

あんな家、帰りたくないし』

斗真『お前なぁ、我儘言うなって

とにかく家にはちゃんと帰った方がいいよ』

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斗真は幸せな家庭に育った奴だから

俺の気持ちなんか到底わかるわけない

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仕方なく斗真の家を出て、大きい荷物を抱えて

宛てもなくブラブラと彷徨った

友達は斗真くらいしかいなかったから

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潤「行く所がなくて

困ってた俺に声をかけてきたのが、智なんだよ」

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宛てもなく

途方に暮れて

公園のベンチに寝転がってたら

「ねぇ」と智に声をかけられた

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智『こんなトコで天体観測してるの？

それとも今夜はここで寝たい気分なのかな？』

と、初対面の俺にやや馴れ馴れしく話しかけてきた

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智『ってか大きな荷物だねー』

潤『ま、まぁ……』

智『ははーん。さてはキミ、家出少年か！』

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初対面の時から智は妙に勘が良かった

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智『家出なんてドラマみたいじゃん！

で、行く宛てはあるの？』

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「まぁ……」と困惑しながら曖昧に返答したら

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智『宛てはないんだね

だったらうちにおいで』

と、小さく笑って智は俺の手を握った

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その手はすっごく温かくて

妙にホッとしたのを今でも覚えてる

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潤「智は俺を家に入れるなり

ココアを入れてくれてさ

そんでお互い簡単に自己紹介して

何か辛い事があったのかな？って聞いてきたんだよ」

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会って間もないにも関わらず

智と一緒にいると自然と心がホッとして

ついつい家出の原因とか

不満や鬱憤を全部話してしまった

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智『そっかぁ。そんな事が……』

話を聞き終えて、智はニコッと笑って俺の手を握って

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智『そんな家、無理して帰る必要ないよ！

ここに住めばいいじゃん！ここにいたいだけいればいい』

と言ってくれた

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