―失声症― ―にのあい―part１４ (ページ18)

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松本くんはやや照れくさそうに

モジモジしながら

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潤「すごいなって思ったから

この雑誌に載ってるモデルの子はみんな

同い年くらいなのに、俺と違って……キラキラしてて

俺も、こんな風になれたらって……」

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松本くん、ピュアだなぁ。可愛い！

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潤「メンズ雑誌を読むようになったのは

斗真が、いらないからあげるって押し付けてきたのが

きっかけ」

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いらない雑誌を人に押し付けるのは

どうかと思うけど……

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潤「で、一度読んだらすっかりハマって

今ではこの雑誌、毎月欠かさず買ってる」

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へー。そういや俺も

呑気に学生してた頃は漫画雑誌を買って

ヒロくんに貸してあげたりしてたっけなぁ

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潤「うち、親が厳しいから

こういう雑誌は隠れて読んでたんだ

遊んでる暇があったら勉強しろって

休みの日は外出禁止で、放課後も寄り道禁止」

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厳しい……

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俺は父さんにも母さんにも

そういう事を言われた経験はないな

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２人とも

好きなようにしていいよ！って感じだったから

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潤「成績は常にトップが当たり前！

２番じゃダメ！

そんで将来は教師か医者になれ！

ってな感じで、ずっと敷かれたレールの上を歩いてきた」

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誰もが羨む程

恵まれた環境に育ったように見えるけど

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本当は……ずっと息苦しい思いをしてきた

可哀想な人

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潤「俺さ

モデルになりたいって、思い切って両親に言ってみたんだよ

そしたら頭ごなしに大反対

おまけに

大事にしてたファッション雑誌も

お小遣い貯めて買った、好きなモデルが着てた服も

全部……捨てられた」

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抱きしめたい、という思いが湧き上がってきて

たまらず俺は松本くんを抱きしめた

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潤「何とか両親を説得しようと試みたけど

馬鹿な夢を見るなって父親に殴られた

その拍子に机の角で頬も少し切っちゃって」

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そういえば俺も

ずーっと前

松本くんに突き飛ばされて、机の角で

頬を切っちゃった事あったな……

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潤「で、家にいるの嫌になって

家出したんだよ」

雅『え！じゃあ松本くんって家出少年？』

潤「まぁ……

そういう事になるな」

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