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「ボス、とりあえずここは私が片付けちゃうんで寝室で休んでてもいいですよ」

物置として使用している空き部屋に、箒と大きめのビニールを取りに行こうと立ち上がる。背中に受ける視線に少し緊張しながら早足でリビングを出ると、私は思わず顔がにやけた。ボスだ。かなり推してる、うん。あんなくたびれた感じなんだ、セクシーだな。なんてお花畑な思考になりつつも、早々にこの現実を受け入れている能天気加減に一種の焦りを覚えた。が、すぐにその焦りは消えた。

7億全部一人で使い切れるとは思っていなかった。バイト時代からの貯金も結構溜まっていたし、ドアとテーブルと犠牲になったジョジョ数冊。床の傷は……よく見てなかったし、もし少し傷が付いてる程度ならば当分カーペットで隠しておけばいいか。その程度の出費ならなんら問題はないだろう。大掃除以来あまり使うことのなかった箒とちりとり、それから黒いビニール袋を持ってリビングへ戻ると、ボスはちょこんと椅子に座っていた。かわいい

「ボス、まだ寝足りないならベッドも使ってくれて構いませんよ。後で部屋着とか生活用品買ってきますね。一緒に行きますか?」

ボスはゆるゆると首を振った。そのまま寝室へ向かうと、ピタ、と一度だけ足を止めたが、何も言わずにさっとドアを閉めてしまった。テーブルの残骸を片付け終わり、掃除機で細かな破片を吸い取り、とりあえず分解した部品らや木の部分は分けてビニールへ詰め、部屋の隅へ置いておいた。手を洗って冷蔵庫の中をすこし片付け、わかりやすいようにこの間買ったヨーグルトを置くと、緊急用に常温で置いてあった経口補水液を棚から取り出し、先程私が入れたアイスティーのボトルをすこし押しのけて同じポケットへしまった。ふと、私はそこで一度冷蔵庫から離れ、カウンターの棚から付箋とマッキーを取り出し、Diavolo、と書きこんでからテープで経口補水液とヨーグルトにそれを貼り付けた。前にもらったプラスチックのスプーンも引き出しから取り出してヨーグルトの上に乗せた。財布の中身を確認して、エコバッグとスマホをかばんに入れてから寝室の前に立つと、中に聞こえるように声を掛けた

「ボス、冷蔵庫にヨーグルトと飲み物入れておいたのでよかったら好きにしてください。なにか欲しいものがあれば買ってきますけど、なにがいいですか?」

少しして、必要ない、と小さく拒絶する声だけが響いた

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twelve(プロフ) - 滅茶苦茶ぶっ刺さりました。大好きです。 (2019年8月3日 1時) (レス) id: 3b57c71271 (このIDを非表示/違反報告)
メイム(プロフ) - 更新ありがとうございます!! (2019年7月17日 21時) (レス) id: 89648f6823 (このIDを非表示/違反報告)
メイム(プロフ) - 凄く面白いです!!ディアブロ可愛すぎる…! (2019年7月13日 22時) (レス) id: 89648f6823 (このIDを非表示/違反報告)
味噌鯖 - 面白いしボスも夢主も可愛くて大好きです!頑張ってください! (2019年7月12日 22時) (レス) id: f633d0accd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しそし | 作成日時:2019年7月8日 20時

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