【黄金の風】絶頂の代わりに幸福を【ディアボロ】

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「ふむ、しかし…毎日風呂に入っているというのに肌も髪も柔らかいな」

は、はだ

「ぼ、ボス……イタリアではお風呂毎日入らないんですか？」

必死に話題を逸らそうと、私はちょっと大きな声を出してボスに尋ねる

「ああ、イタリアでは風呂はあまり入らん…日本では毎日が習慣なのか……乾燥するだろう？」

「い、いえ……別にそこまでは…環境の違いかな…はは…日本では遠慮なくお風呂はいってくださいね…」

「ああ。ほら、まだ終わっていないだろう？こっちへ来い」

私は恥ずかしい気持ちをグッと堪え、四つん這いのままボスのもとへ戻る。そのまま背を向けて、次は何をされるのかとヒヤヒヤしつつも、別にもう何もされることなく綺麗に髪を結んでもらった。うわ〜なんか恋人みたいじゃん

終わったらしいボスが少し上機嫌に脱衣所へブラシを戻しに行くのを見送り、はあ、と一息ついた。ボスが近い。嬉しいのだが。この短期間でここまで接近してもいいのだろうか、腐ってもイタリア男…いやボスは腐ってなんか…もういいから何か別な話題を……

「…イタリア、お風呂あんま入らないのか……」

テーブルに置いたスマホを滑らせながら自分の方へ寄せる。イタリア、お風呂事情、と検索ワードを入力し、いろいろ調べるうちになんとなく納得した。私も基本はシャワーだけでお風呂を済ませているから、今度入浴剤を買ってきてボスをゆっくり浸からせてあげよう

集中して見ていたため後ろから画面を覗き込むボスと目があった時はまた少し硬直して、ああ〜美形〜とか脳内で悲鳴をあげながら、買い物の準備を進めようと急いでその場から離脱した

ーー

「さあ、出かける前にこのマスクとサングラスと帽子を装備していってもらいましょう」

「準備がいいな」

「そりゃそうですよ。ボス目立ちますもん、今めっちゃ人気なアニメのラスボスですよ？前回とくに…」

あの……MAD素材、リズム天国、たこ焼き、コミケ。
公式がわかってるのかわかってないのか、とにかく他でめたくそにネタにされていたあのシーンの衝撃は計り知れない。ジョジョを知らなくてもツイッターとかでリツイートされた動画や画像を見た人も多いかもしれない。危険である

本当は、ドッピオに戻れるのなら。その状態で外に出られたのだけど。

「(そう口にするのは、流石に無神経すぎるよなあ)」

ボスにグイグイと変装道具を押し付けながら、私もさっさと靴を履いて出る準備を終わらせると、ボスと手を繋いで外へ出た

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