【黄金の風】絶頂の代わりに幸福を【ディアボロ】

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「ボス、家事の分担をしましょう。お風呂とトイレ掃除と洗濯物は私がやるのでその他で何かやってもらえることはありませんか？」

「……殆どお前がやっているではないか」

「そうですかね？全然キッチンの掃除とか余ってるんですけど…」

「……」

ボスは少し興味を持ったようで、手元のスマホをいじるのをやめ、私の方に向き直った。私はメモ帳とボールペンを取り出し、上から適当に思いつく限りの家事を書き出していく

「えー…お風呂、トイレ、キッチン…シンク、コンロ、オーブンレンジ、冷蔵庫、脱衣所……」

掃除が必要な場所全て、洗い物、買い物、洗濯物、料理、それからゴミ捨てと思いつく限りの内容と頻度を書き出し、自分がやる必要のあるものにチェックをつける

「お風呂は…ダメです…」

「なぜだ。」

「……ええ…」

恥ずかしいからです、と答えるのもなんとなく恥ずかしい。とにかくキッチンの掃除が大変だから、これさえやってもらえればもうそれで万々歳だ、と強引に話をまとめようとするも、私の負担を気にして結局、料理、洗濯物、買い物。それから掃除はなんとかお風呂場とトイレ、脱衣所を勝ち取り、その他はほぼ全てボスがやってくれることになった。くそう、なんか中身までイケメンだなこの人。
それぞれ掃除の頻度は少し緩めに回数を決定し、無事役割分担が決定した「本来なら自分の必要なものくらい自分で買いに行くべきなのだがな。」、とかサラッと言っちゃうあたりが…もう…

「一緒に出かけたいけどなあ。どっかデートしましょうよ」

「…側から見て1人のか？」

「いやあ絵面キツイっすねそれ」

「……まあ、いいだろう。行きたい場所を考えておけ」

え、いいの？
ボスとデート。なんて夢みたいなことだろう。動物園に行きたい。ふれあいコーナーでモルモットにエサをあげたいな、なんて想像を膨らませる私をよそに、文字は読めても入力(書き)ができないボスはイタリア語のキーボードを追加でダウンロードしているようだった。

あとでAmazonのアカウントも新しく作ろう。自由に買い物ができないというのは不便なことだから。

いち早くボスが快適に暮らせるように、私も尽力しなくては。グッ、と握りこぶしを作って決意する私に、ボスが一つ思い出したようにこちらに顔を向ける

「試したいことがある、手伝え」

「…なんですか？」

ボスはちょっとニヤリ、と笑って私を見下げて、一言

「外へ出るぞ」

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