弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第１２期】

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トイレから出て落ち着いた私はゆっくりと大分慣れてきた松葉杖をついてテントの方向へ足を向けようとした時、後ろから声をかけられる。

振り向くとハンカチで手を拭きながら私を見ている石垣さんが立っていた。




「クリスさんっ。インハイぶりやなぁ。総北も来とったんか」

「石垣さん！お久しぶりです。えと、はい。総北の皆さんが出るので私も応援に連れて来ていただきました」

「そうなんか？それで、その足･･･どうしたんや？痛ないか？」




心配そうな石垣さんにさっき新開さんにした説明をもう一度すると、石垣さんは自分が怪我をしたような表情で気遣ってくれる。

本当にこの人はとても優しくていい人なんだなぁ。



あ･･･、そういえばお礼･･･っ！




「い、石垣さん。私、インターハイの時は怪我のこともあっていっぱいいっぱいで･･･。お礼言えていませんでした」

「うん？お礼･･･？お礼お礼･･･？うーん。何のや？」




あんなにたくさん助けてくれたのに、石垣さんにはそんな意識はなさそうで、私はついクスクスと笑ってしまう。

それでも私は石垣さんのおかげで最下位から先頭のみんなのところへ行くことが出来たんだ。




「インターハイの１日目。石垣さんが助けてくださらなければ、私は総北のみんなに追いつくことが出来ませんでした。本当にありがとうございました」

「あ･･･。ああ。あの時か･･･。否、俺がそうしたかったんやから礼なんてええんや」

「それでも･･･。ずっと言いたかったのです。ありがとうございます」




精一杯の笑顔で石垣さんを見上げてお礼を言うと、石垣さんは顔を真っ赤にして何度も首を振った。

お礼を言われ慣れていないのかもしれない。

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