【デュラララ!!】怪物が訪れた愛に満ちた池袋の話。 (ページ3)

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人を探せば彼に当たるページ3

回想、終了。

そんなこんなで池袋に訪れたA。

しかし、彼女はまだ、目的の男を見つけられないでいた。

仕事絡みでない限り入念な下調べを行うのは楽しみが半減するために避けているAだったが、慣れない異国の土地では平和島静雄を探すどころか、ぐちゃぐちゃに入り混じる人混みの中をかき分けて進むだけで精一杯だった。

『池袋最凶』などと言われているくらいだからすぐに見つかると思っていたが──少々見積もりが甘かったのかもしれない。

「意外と見つからないもんだなあ。もう暗くなってきちゃった」

休暇中の一年間ここで暮らす覚悟はしていたけれど、できることなら一日でも早く会ってみたい。

結局のところ人に聞くのが一番早いだろうと、彼女は道行く人に尋ねてみようと思ったのだが──

そこで、Aは眉を顰めた。

──物騒なところだとは聞いたけれど、あまりにも不良やチンピラが多い街だな。

初日にそんなのに巻き込まれるのは御免だ、そう思いつつ大人しそうな人を探し始める。

すると、目に留まったのは────

もう4月で、そこまで寒くないというのに厚地の黒いコートを羽織った、黒髪の男。

その男は、髪の長い綺麗な女性と歩いていた。

「ねぇ、今夜のご飯は何にする？」

「何でもいいわ。どうせ食べに行くんでしょう？」

「今日は手作りが食べたい気分だ。リスマンダリンで何か料理作ってよ」

「……何処に売ってるって言うのよ、それ」

そんな何処にでもあるような、他愛のない会話。

なのに、不思議と彼に強く惹かれてしまい──気付けば、話しかけていた。

「あの、すみません」

すると男はくるっと振り向いて、優しそうな笑顔で「なんだい？」と尋ねてきた。

連れの女性はチラ、とこちらを見た後、邪魔にならないところで会話の成り行きを見守っている。

「ええと、人探しをしているんですが……」

「へぇ、そうかい。俺は大抵の人──そうだね。まぁ、そこそこ名の知れた人くらいは分かると思うけれど」

かなり自信を含んだその台詞に、「スゴ腕の記者か何かだろうか？」と思うA。

まさかその男が、自分と同じような人間(、、、、、、、、、、)だとも知らずに。

「えぇ。ここら辺では有名な人だと耳にしたんですが──……」

「──平和島静雄さん、ご存知でしょうか？」