訃報 ページ19
煉獄さんの訃報を聞いて、真っ先に向かったのは蜜璃さんの所だった。
蜜璃さんは、煉獄さんの元継子で、いつも嬉しそうに「師範はすごいのよ」と自慢げに煉獄さんの話をしてくれた。
「あ、Aちゃん、こんな夜遅くにどうしたの?」
泣き腫らした目の蜜璃さんは、屋敷に入ると笑顔で私のことを迎えてくれた。
「今、なにかお菓子持ってくるから待っててね」と、その場を立ち去ろうとする。
蜜璃さんの呼吸は恋の呼吸と言う。
いつも何かに胸をときめかせて、キラキラしている蜜璃さんの音が、私は大好きだ。
いつも、きらきらしていて、元気いっぱいな音が、
今はぎしぎしと音を立てていた。
苦しそうで、泣きそうなくらい悲しい音がする。
「蜜璃さん、私、昔話した通り、全部、聞こえてるんです。
蜜璃さんが悲しいのも、ちゃんとわかってます。
だから、そんなに無理しないでください。」
途切れ途切れの言葉で、蜜璃さんに今の思いを伝えようとする。
煉獄さんの訃報を聞いた時、一番に思い浮かんだのは、冨岡さんが死んだらどうしよう、ということだった。
継子として長い時間を共に過ごすほど、失った時の痛みは大きい。
では、煉獄さんの継子の蜜璃さんは…?
今、辛いに決まっている。気が付けば、足は蜜璃さんの屋敷に向かっていた。
蜜璃さんは、私の言葉を聞くと、目を丸くしてからぼろぼろと綺麗な瞳から涙を流し始めた。
そんな蜜璃さんの姿を見て、私もなんだか胸が痛くなって、気が付けば涙が零れていた。
「なんでAちゃんも泣くの」と蜜璃さんが私を抱きしめながら、声を上げて泣き始める。
二人でしばらく泣いていると、しのぶさんが来てくれた。
きっと、しのぶさんも蜜璃さんのことが心配だったのだろう。
「先を越されてしまいましたね」と困ったように微笑むと、目が腫れますよ、と氷水を渡してくれた。
蜜璃さん達と別れ、寝室の布団に入ってから、また、恐怖が襲った。
もし、冨岡さんが死んだらどうしよう。
柱である冨岡さんは、強い鬼と戦う機会も多い。
煉獄さんは強かった。だけど、上弦の参は煉獄さんの命を奪った。
奪うことが、出来た。
じゃあ冨岡さんは?
もし上弦と遭遇したら。もし、冨岡さんが、いなくなったら。
怖くて仕方なかった。
悪い想像を振り払うように、布団に潜る。
―――――強くなりたい。
冨岡さんと並んで、守れるくらい。
強くなりたい。
そう強く思いながら、痛む胸を抑えつけた。
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます!応援してます! (2019年10月13日 9時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね!! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました!言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました!言葉おかしかったらすみません…!続き、楽しみにしています!(*´`*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月12日 10時