【マフィア松】その表情が”そそる”んだよ・・・？【おそ松さん】

Mafia１６〜過去編〜 ページ18

Aの目が覚めたのは、数日が経った日の夕方だった。




暗く、広い部屋。外に出ようとしたが、窓、戸全てに鍵がかけられていた。






『首領、私は一体これから…』



一粒の涙がAの頬を流れる。


無意識。彼女は既に泣き疲れていた。





首領と彼女の関係は複雑だった。





首領の名前はクリス・フィリノア。




父親はコリン・フィリノア。とある大手企業の会長であったため、彼は所謂ボンボンであった。



母親はリリー・フィリノア。容姿は女神と言われるほど美しく、何不自由ない生活だった。





そう、彼の14歳の誕生日までは…




その日彼の母親が事故で他界。




広い屋敷の中が母親1人いないというだけで、広く感じられた。




父親はクリスを悲しませないように、苦しい嘘をつくばかりだった。




コリン「もうすぐ…もうすぐ母さんは帰ってくる！だから心配するな？」





しかし当然ながら、リリーが帰ってくることはなかった。




リリーが他界して1年後、彼の15歳の誕生日。



彼は大きなテーブルにのった、豪華なショートケーキを見つめていた。






クリス「帰ってこないじゃん…」





誕生日プレゼントももらっていないまま、その日は終わってしまった。





そして次の日。



屋敷の中はやけに慌しく、パーティーでも開くかのようだった。





クリス「ねぇ、今日もパーティーやるの？昨日もやったじゃん」




彼はメイドに尋ねると、彼女はこう言った。





「今日は昨日のパーティーには無かった、素晴らしいプレゼントがあるんですよ！」





「素晴らしいプレゼント」


それを聞いても嬉しくはならなかった。
プレゼントがもしもらえるなら、





クリス「母さんが欲しい…」





ｶﾞﾁｬｯ




コリン「みんな、集まってくれ！！」




大きな扉の前に立って、大声で言った。



コリン「準備ご苦労様！もうそこまででいい、今日は盛大に祝ってくれ！」





コリンはクリスに手招きをした。
クリスが大きな扉の前に立つと、コリンは言った。




コリン「本当に遅くなってしまった…プレゼントだよ」





遅くなったと言っても、たかが1日。





コリン「入ってきてくれ！」



扉に向かって言うと、ゆっくりと開いた。






扉から出てきたのは、美しい黒髪の女性。
それから、クリスよりも少し年下の少女。






コリン「プレゼント、新しいお母さんと、可愛い妹だよ」






それがクリスとAの関係であり、出会い。

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