緑色の涙は赤黒く【速度松】

３* 昨日 ページ5

顔を洗うとポロッと目から落ちた『何か』
……血の塊だ。まだ乾ききってないため新しい物だということがよくわかる。

おそ松兄さんが変だったのは、これが原因なのか。
僕は泣くとき、目から血が出てくる。

涙が赤黒くて、少しドロッとしていて。
その気持ち悪い上に痛い、凄く。
目がとれそうなほど、と言うと分かりにくいだろうか。
ズキズキする痛みじゃなくて、ピリピリするような痛み。
凄く辛いものを食べた喉みたいに、溶けそうでピリピリする。

その痛みに更に涙が出て来て涙が止まるまでずっと痛みが止まらなく、止まったとしてもその後の数時間はまだ痛みが引かない状態。


昨日、皆が寝た後に僕は一人で泣いた。

僕一人だけ違うのが、皆に気を使われるのが、辛くて。
汗と声が漏れる。
洗面所で泣いていたため、泣き終わった後には白い洗面台の一部分が紅黒く染まっていた。

昨日の事を思い出しながら、冷水がでる方の蛇口を右に捻ると「ｷｭｯ」という音と共に水が止まる。

兄さんに変わろうと振り向くと真剣な表情で何かを考えている様子だった。

タオルを手に取り、顔の水を拭いながらおそ松兄さんに話しかける。

「おそ松兄さん。顔、洗わないの？」

すると、驚いた表情をしてから俯きがちに「洗う。」と答える。

さっき、何を考えていたのかは大体だけど、分かった。
きっと、僕が病気のことに対して頼らないから怒っていたのだろう。
……なんとなくだけど、そういうのは分かってしまう。
そういうところが、６つ子なんだなぁとしみじみと感じながら、おそ松兄さんの後ろ姿をみつめる。

おそ松兄さんの後ろ姿を見ながら、僕らの事一番に考えてくれるとこはやっぱり、長男だな。と考えていた。

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