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*







正直、部屋に戻った後の記憶は殆ど無い。



只、泣いた。




『御揃い』




そう云って購ったてでぃべあを抱き締めて泣いた。

隣に居る姉様に聞こえぬ様、声を押し殺して泣いた。

只の自分の幻聴だと云い訊かせ乍ら泣いた。



悪い夢を見たのだ。屹度。


少し、疲れていたのだろう。



そう云い訊かせなければ私は如何にかなってしまいそうだった。

其れ程先刻の出来事は幼い私にとって辛く苦しいものだった。




其の内、私は泣き疲れて寝てしまった。





__夢を、見ていた。



私と、姉様と、兄様が手を繋いで参人で歩いていた。

真ん中に私は居た。皆楽しそうだった。


刹那、辺りは真っ暗になった。





同時に姉様と兄様は私の手を離し、去っていった。


呆然と其方を眺めていると、兄様は突然笑みを浮かべた。

まるで重い荷を降ろしたかの様な安心した笑顔だった。



姉様も兄様の腕に自分の腕を絡め、私の方に向き直り彼女も又、笑った。


そして、去っていった。


つまり、そう云う事なのだ。



先刻迄有った温もりは消え、心做しか少し冷たかった。



静寂だった其処に乾いた笑い声が響く。

訊いた事がある様な馴染み深い声だ。



1人に成り、寂しくて蹲って居る私の方へと声の主が近付いて来る。




顔を上げると其処に居たのは__







*




私の瞳の色は真っ黒だ。

勿論右も、左も。


闇の様に真っ黒だった。





けれど鏡に映っている姿はそうでは無い。



否、片方は同じ真っ黒だ。


然し、もう片方は?

答えは吝か(やぶさか)じゃあ無い。





赤かった(・・・・)


血をどろりと溶かした様な真っ赤な紅だった。




目が覚めた私は行き場の無い感情をてでぃべあにぶつけるかの様に殴った。

ぬいぐるみ特有のぽふぽふと云う音が響いた。



莫迦らしくなった私は、取り敢えず涙で顔がぐしゃぐしゃになって居るので顔を洗おうと躰を起こす。


部屋を出るべくふらふらと歩いていると前を見ていなかったので、何かに頭をぶつける。


其の何か__姿鏡を見た。


そして気付いた。




瞳の色が黒と赤色になって居る事に


悲鳴を何とか堪え這う様にして居間へ向かう。



ガラリと扉を開けた処で昨日の事を思い出す。





手遅れだった。開けてしまったのだから。





此方を見る家族の皆は恐怖と驚きが入り交じった様な表情だった。


只、何故か私を見た兄様には哀しそうな色を浮かんで居た。



矢っ張り昨日の事は決して夢じゃあ無かった様だ。








*

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黒蜜おもち - 終わり!?おっおわ……続き、ください。。。 (3月28日 12時) (レス) @page38 id: b91ecec67d (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 続きをお恵みください… (12月30日 21時) (レス) @page38 id: 5d2aa23f76 (このIDを非表示/違反報告)
山羊のサーカス(プロフ) - 終わり...だと...!?再度更新を願っております...! (11月25日 18時) (レス) @page38 id: 78c8c266f2 (このIDを非表示/違反報告)
かぐや - 終わっちゃった…更新して欲しいです!!お願いします… (9月8日 21時) (レス) @page38 id: 65c95105c4 (このIDを非表示/違反報告)
rai - お、終わり⁉︎是非更新をしてくれることを願って (8月19日 22時) (レス) @page38 id: 67327e3dd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふにゃた | 作成日時:2018年2月18日 19時

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