拾捌 ページ20
*
『うぅ、暑い』
外に出た私に容赦なく降り掛かる強い日差しに思わず顔を歪める。
未だ春だと油断していたが、此の調子だと如何やら夏本番も近付いている様だ。
そろそろ衣替えの季節かなァ、と此の気温には不似合いのセーターの袖を捲る。
『えェ、と最初に之を購って、其の次は…』
と購い物表に目を通し乍ら頭の中で計画を立てる。
そう云えば、商店街に有る
そう云う事なら今自分が向かおうとしていた御店では無い方が良いだろうと思って進路を変える。
どうせなら姉様に何か御土産でも購って帰ろうか。
そうすれば屹度、機嫌も佳くなるだろう。
勿論、探偵社の皆様にも。
嗚呼少しだけ、帰るのが遅くなって仕舞いそうだ。
そう思った私は、無意識に微笑んでいた。
昔に戻ったみたいだ。
未だ、幸せだった彼の頃の様で。
何だか一寸
*
『今戻りました』
そう云って探偵社の扉を静かに開ける。
少しだけ弾んだ声の私に、次々とお帰りと言葉を返して呉れる。
他の方にとっては普通の事かもしれないが、其れが如何しようも無い位に嬉しかった。
と、此処で皆様の声に何処か覇気が無い事に気付いた。
多分、否屹度、書類整理に追われていたのだろう。
そう考えたら、何だか一人だけ休憩をしてきた様で申し訳無く感じる。
春野さんに頼まれた品々を渡すと、何故か偉い偉い、と頭を撫でられた。
もう子供じゃ無いンだけどな、と気恥ずかしさ依りも嬉しい、と云う気持ちで一杯になる。
そう云えば、と御土産に購った甘味を春野さんに渡す。
受け取る為に離した手の僅かな温もりが名残惜しく感じた。
「
『姉様に悪い事、して仕舞ったので…』
序に迷惑かもしれませんが、と小さな声で付け足す。
「そんな事無いわよ。すっごく嬉しい」
そう云って微笑んで呉れた春野さんを見て心の底から安堵する。
「流石私のAですわ!」
姉様を筆頭に甘い匂いに誘われる様に皆様が顔を輝かせ乍ら此方に歩み寄る。
貪る様に美味しい、と何度も云って呉れる皆様を見て購って良かったと
そんな中太宰さんがそう云えば、と前置きをした上で私に問い掛ける。
「ずっと気になっていたのだけれど」
「Aの頸の包帯の下、如何なっているんだい?」
何処か悲しげに微笑んだ笑顔で。
*
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黒蜜おもち - 終わり!?おっおわ……続き、ください。。。 (3月28日 12時) (レス) @page38 id: b91ecec67d (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 続きをお恵みください… (12月30日 21時) (レス) @page38 id: 5d2aa23f76 (このIDを非表示/違反報告)
山羊のサーカス(プロフ) - 終わり...だと...!?再度更新を願っております...! (11月25日 18時) (レス) @page38 id: 78c8c266f2 (このIDを非表示/違反報告)
かぐや - 終わっちゃった…更新して欲しいです!!お願いします… (9月8日 21時) (レス) @page38 id: 65c95105c4 (このIDを非表示/違反報告)
rai - お、終わり⁉︎是非更新をしてくれることを願って (8月19日 22時) (レス) @page38 id: 67327e3dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふにゃた | 作成日時:2018年2月18日 19時