跳んで歌って舞い上がれ【2】【剣盾】

56 タチイチウラオモテ ページ9

私はネズから部屋の鍵を受け取らなかった(受け取り忘れていたとも言う)のでマリィの部屋でお世話になっていた。当の本人はくたくただったので、今はベッドで眠っているが。

　ネズはまだ帰って来ない。マリィは寝ているため、SNSを更新したりエゴサするくらいしかやることがない。ポケモンを出してしまうとマリィを起こしてしまうかもしれないからね。
テレビの電源を付け、いくつかチャンネルを変えみた。あ、ハチクマン新作出るんだ。ハチクマンシリーズはイッシュ地方で公開され続けている映画のことだ。昨年公開されたハチクマンの逆襲の続編が上映されるようだ。私は割と好き。

　突然スマホロトムから着信音と音声が鳴り始めた。びっくりした……この音いつになっても慣れないわ。

「ネズさんからのメッセージロト！！読み上げするロト?」
「お願いします」
「分かりました! 『いきなりすみません。マリィと一緒ですよね? 今すぐマリィとホテルの外へ来てください。事情は後で話します』」

　文面を見ても急いでいるのが分かる。それにしても急だな。とりあえずマリィ起こさないと……
***

　後で通話して分かったことだが、ユウリとホップがローズタワーに向かうようで、二人がネズに案内を頼んだようだった。だったら私たちも呼びましょ、という流れらしい。

「ユウリとの激しい試合でいろいろくたびれとーのに……」
「エール団はユウリを応援すると決めたのですよ。一緒に手伝ってください」

　まぁ、私たちだけホテルに置いておけないっていうネズの気持ちは分からないことはないけどね。エール団長が言うならそれに従うよ。

「美しい兄弟愛！ですが必要はありませんッ」

　綺麗なライトベージュの髪を持つ女性が立っていた。ホップはその女性をオリーヴさんと呼んだ。オリーヴ、あぁ。ローズ委員長の秘書さんか。あの人の名前を思い出すとは思っていなかった。ビートはあの人のもとに。

「ローズ委員長はチャンピオンと大事な大事な打ち合わせの最中……
誰にもじゃまをされるわけにはいきませんッ！
もっともローズタワーには関係者しか行けません
だってモノレールでローズタワーに行くにはキーがいりますもの
つまりローズ委員長がいらっしゃるローズタワーには誰にも行けないのです！
キーはわたくしが選んだリーグスタッフに渡しておきます
だってローズ委員長、ちょっとした遊びが好きですもの」

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