78 ビーツの黙示録――2 ページ31
スタジアムから出るまでに何度も大きな音が響き渡った。アマージョはまだ暴れている。悠長にしてはいられないと感じ取り、ホップと顔を合わせテッカニンのごとく歩を進めた。
「北側の観客全員避難終わったぞ! それからネリネも捕まえてきた!」
ようやく受付までたどり着いたと思ったら目の前は真っ暗になった。ホップの焦る声、ヤローさんの感嘆の声が微かに聞こえたが、後に全て吹き飛んでしまう。
「ネリネッ! 心配しましたよッ!」
黒の正体はあくのユニフォーム、ネズの胸板であった。頭に触れるその手は声とは反対に溶けるような優しさで、こんなに優しい彼を不安にさせたことを後悔した。
「なかなかスタジアムから出てこないからあらぬことまで考えてしまいましたよ! あぁ本当に! ネリネには言いたいことが沢山ありますッ!」
ネズの力は緩まない。絞める力が強いのだ。顔を合わせようと私が力を入れてもそれを拒むようにしてより一層力を込める。
「でも、きみが無事で安心しました……」
込める力が弱まり、やっとのことで顔を合わせれば、ネズは目を細めて笑っていた。
「彼女も無事でしたし、ホップさん助かりましたよ。さすがはジムチャレンジャー、頼りになりますねぇ」
「セミファイナルトーナメントで敗退したけど……」
あっユウリ! と暫くの間傍観していたであろう彼女にホップが声をかける。ホップの様子がいつもと何だか違うように感じる。元気がないというか、彼らしくない。
「ねぇネズ」
「なんです?今は彼らが喋っているでしょう」
「違うの。ホップなんかおかしいと思わない?」
「……そうですね、何かノイズを感じます」
自信の欠如、だろうか。ホップの表情は暗い。
ダイマックスに対してユウリもネズも手伝うと言う。ネリネはここで回復の準備をしておけと釘を刺された。
「ほら、元チャンプの弟よ。きみも来るのです」
「オレがついていっても力になれるかどうか……みんなの足手まといになっちゃうかもしれないしさ……」
「たぶんですけど、ダンデなら迷いませんね」
道には迷うけど、と小さく付け足したネズはそれ以上何も言わずに現場へと向かった。それに追いつくよう、ホップも走っていく。
さっきのあれはネズなりのカバーであるが、ホップは気づくことができたかな。
「それではネリネさん。ぼくたちは行きますのでげんきのかけら、渡しておきますね」
「は、はい!お気を付けて!」
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伊万里(プロフ) - 星猫さん» 申し訳ないですが知らないアニメですね。 (2021年4月5日 0時) (レス) id: 8155f27608 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - トランスフォーマープライムは知ってます? (2021年4月3日 21時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
伊万里(プロフ) - 星猫さん» REBORN、天デ部、アニポケ、ヘタリア、ジョジョ、SideM、ドクストとか色々あります。今パッと思いつくのでこれくらいですが多分もう少しありますね。 (2021年3月27日 21時) (レス) id: 8155f27608 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 伊万里さん» 知ってるアニメは何ですか? (2021年3月27日 16時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
銀狼&銀狐(プロフ) - 伊万里さん» ポケマスのI.D.です! 1210-0027-9994-1592です!!このI.D.をポケマスで友達検索のところでうってくれれば友達なれます!! (2020年7月15日 18時) (レス) id: d5e2916806 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊万里 | 作成日時:2020年3月6日 9時