クリスマス・イブ【期間限定】 ページ9
ずず、と知らない間に垂れてきていた鼻水をすすった。
イルミネーションの通りを歩いていたカップルは、ギョッとしたようにこちらを振り向いた。
女の方はまるで、そんな下品なことをするからひとりなのだと言わんばかりに鼻で笑った。
全くそのとおりだと思うので、もう一発かまし、私はゆっくりと重たい足を動かす。
すると、よく見慣れた制服の男女がふたり、頬を赤く染めながらゆっくりと歩いてきた。
たどたどしい会話。されどもふたりとも一生懸命で、初々しさで溢れた男女。
眩しくて眩しくて、目を細めてから私は気づく。
彼女たちと同じ制服を着ていたころも、私は同じことをしていたっけ。
大好きな人がいた。ずっとずっと好きだった人。
彼に彼女ができてから、イルミネーションを見に行く二人の後ろ姿が眩しくて眩しくて目を細めた。
あの頃好きだと伝えていれば燻った気持ちになにか変化は起きたのだろうか。
ずっとずっと問い続けてきたが、もう答えに意味はない。
コートのポケットの中にしまったままの、誰に繋がれることもない左手に思い切り力を込めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 680人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むむ◎(プロフ) - 椿さん» 椿さんこんにちは！いつもコメントありがとうございます(TT)そのコメントを励みに更新がんばります！！ (2020年1月6日 23時) (
レス) id: 70a6965a98 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - むむ◎さんこんにちは。いつも楽しく読まさせていただいています。クリスマスイブ、将軍ちゃんの気持ちを考えると切なくて泣けてきます（ ; ; ） (2019年12月28日 22時) (レス) id: 54af9b9bfa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むむ◎ | 作成日時：2019年11月27日 0時
