【w.r.w.r.d.!】Mi sta cercando (ページ17)

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「え…！ゾムがどうしたの…？」

ゾム、その二文字を聞くだけで顔を赤らめ、声のトーンをワントーン上げる先輩。それだけで俺はゾムさんを憎らしく思ってしまう。どうしたらそんなに先輩に思われるんですか。狡いですよ。

しかし今はそんなことを気にしてはいられない。だってこれから先輩は俺のものになる。そのための準備に気を抜かすことなど出来ない。

「そう、ゾムさんがですね……、その、非常に言い辛いんっすけど……」

出来るだけ声量を落として、顔を俯かせて。まるで嫌なことを聞いてしまったかのように。そう、演技をし続けろ。

「え、な、何かあったの……？」

そんな俺の演技に騙されたのか、表情を曇らせ、心配そうに俺を見る先輩。

そんな先輩に俺は一つ、彼女にとっては一番最悪な嘘をつく。

「A先輩のことを”嫌い”って言ってたんすよ……ッ！」

「……え？」

俺の嘘に彼女は一つ小さく声を上げた。

「え、そ、それって、一体、どういう…！？」

顔を青ざめ、ショックを受ける先輩。そして彼女はどういうことだと俺に問い詰めた。この展開もまた予想がついていたため俺は用意していた嘘を簡単についた。

「最近、ゾムさんがそうぼやいていたのを偶然聞いてしまって…。どういうことか問い詰めたらしつこいし、うざいからもう近づかないで欲しいと言ったんっすよ…」

その言葉に先輩はその大きな目を更に大きく見開かせた。

「う、嘘、いや、そんな、なんで、私のこと、いや、だった…？」

「先輩……」

先輩は簡単に俺のことを信用する。だって俺がずっとゾムさんのことを伝えてあげていたから。だから俺が嘘をつかないと、彼女はそう思っている。だけど残念でした、俺は欲しいもののためなら何でもするんっすよねぇ。

好きな人を騙すことだって。