【w.r.w.r.d.!】Mi sta cercando (ページ18)

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「かなしい、よ、ねぇ、なんで、ゾム。私の、どこがわるかったの？」

そう言って先輩は顔を手で覆いながら泣き崩れた。
ぼろぼろと彼女の手の隙間から涙が溢れる。

ずっと苦しそうに泣き続ける先輩を、俺はそっと抱き締めた。

「ショッピ…くん、私、もうやだよ、好きな人から、そんな言葉、聞きたくなかった…！ゾムなんて、好きにならなければ良かった…！」

そう苦しそうに言う彼女に俺は甘い言葉をかける。

「なら、俺にしませんか」

「え…？」

先輩は泣き腫らした痛々しい顔でぼんやりと俺を見上げる。未だに彼女の瞳からはぽろぽろと綺麗な雫が流れ落ちていた。

「俺なら、先輩を悲しませたりなんてしません。そんな痛々しい顔をさせることも、辛そうに泣かせることも絶対にしない。先輩を必ず幸せにします。だからゾムさんなんかじゃなくて、俺にしませんか」

そう言って、彼女の眦に溜まった涙を指で掬う。流れが止まることの無かったその雫が流れることが無いようにと何回も指で掬いあげた。

「っ、ショッピ、くんっ…。こんな私でも、いいの？こんな、弱くて誰かに助けて、貰えないと、生きていけない私でもいいの？」

「先輩は悪くなんてないっす。悪いのは、先輩にあんなことを言った、ゾムさん。先輩は何一つ悪いことなんてしていない」

小さく震える先輩の体にゆっくりと腕を回し、さっきよりも強く抱き締める。

「ほら先輩、辛いならもっと泣いていいんすよ。沢山泣いて、もうゾムさんのことなんて忘れてしまえばいい。辛いことを全て、涙と一緒に流してしまいましょう？」

先輩はその日俺の腕の中で、今まで見たこと無いほど辛そうに、苦しそうに声を上げて泣いた。

何十分、経ったのだろう。さすがに泣き疲れたのだろう、先輩は俺の腕の中ですやすやと心地よさそうに寝息を立てて眠っていた。

そんな彼女の姿に、思わず口の端側が吊りあがりそうになって、何とか必死に抑える。

やっと、先輩はゾムさんのものじゃ無くなった。
俺の嘘のせいで、ゾムさんは、先輩の好意を失った訳だ。

ならばこれでもう、先輩は俺が奪っても良い事になる。

「A先輩、愛してるっす」

そう呟いてそっと先輩の唇に一つキスを落とす。

＿嗚呼、先輩、俺の嘘に騙されてくれて、ありがとうございました。俺、そのことに一番、感謝してるんすよ。

だってそのおかげで貴方が手に入ったんですから。