39人目 ページ5
ファイルをパラパラとめくっているとき、彼女の目に留まった一枚の紙。
『二日後、我が国にとある国の外交官がやってくる。その外交官の暗殺を依頼する。』
そう簡潔に書かれた小さな紙。
妙に表面が綺麗だった。
右下には、「ナット・リアリ」という文字。
Ｋ国の国王の名である。
その文字を見て、彼女の口は弧を描いた。
「ククっ。国王直々の依頼か。一国の主が暗殺者に依頼をするなんてなァ。面白そ。」
そこら辺の人間が見れば鳥肌が立ちそうなくらい狂気に満ちた笑い方をした彼女は、もう正常とは言えないだろう。
Aが我々城から抜け出してきて一か月。
腕にあった痛々しい傷は、いまだに癒えていない。
前と違って仮面のない彼女の顔にある綺麗な赤黒い目には、一点の光も映っていなかった。
無自覚の不幸。
彼女は彼らに会えないという不幸を、自覚しないうちに暗殺によって潰していた。
ファイルを棚に戻し、立ち上がった彼女はＫ国に足を運ぶ準備をし始めた。
ナイフ二丁を足に取り付け、一つの銃をベルトに引っ掛ける。
大がかりな装置に紙を入れ、一言だけ言って小屋から出た。
雲一つない快晴。
彼女は一度大きく深呼吸をし、足に力をこめ走り出した。
すでに日は陰り始めていた。
―嗚呼、いつだったかロボロに出会ったとき、彼女は何と言ったっけ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
日高ナツメ(プロフ) - mo4さん» ありがとうごさいます！とりあえず完結させられました・・・ (2019年12月29日 6時) (
レス) id: a414d96f78 (このIDを非表示/違反報告)
mo4 - お疲れ様でした! (2019年12月28日 22時) (レス) id: c8f50611df (このIDを非表示/違反報告)
日高ナツメ(プロフ) - aityandao824さん» ありがとうございます！！思いついたら短編っぽく入れてみようかな・・・考えてみます。そこまで期待せずにお待ちくださいっ！ (2019年12月27日 22時) (レス) id: 7897dbe3ea (このIDを非表示/違反報告)
aityandao824(プロフ) - お疲れ様でした！時々でもいいのでネタ話や間の話など投稿して頂きたいです！ (2019年12月27日 22時) (レス) id: b8cadeac1b (このIDを非表示/違反報告)
日高ナツメ(プロフ) - おにぎりさん» わぁぁぁぁぁコメントありがとうございます！！返信遅れて申し訳ない・・・楽しみに待っていてください！ (2019年12月17日 14時) (レス) id: 7897dbe3ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
