158episode 検査 ページ16
Aside
『オレお前のことすきだって言ったら、……どうする？』
『……迅さん、……すきです』
『だから、お前が好きだ、瀬野』
「…………」
白い天井。もう見慣れてしまった。
ベッドに仰向けになったまま顔だけ横を向いて窓を見る。カーテンの隙間から街灯の淡い光が漏れている。まだ夜中。
顔を正面に戻して、自分の手の甲を乗せて視界を遮る。
「…………最低……」
連鎖的に蘇ってくるのは、つまり私はひとまとめにしているということ。
人気のある男子が、バレンタインのチョコレートをまとめて紙袋に入れて持って帰るそれみたいな。
「……本当、なんで、」
なんで私なんかをすきになったんだろう。
◆
「なんだお前どうした？ 体調悪そーだな」
私がおはようございますとあいさつをすると、当真さんは開口一番そう言った。
当真さんは「大丈夫か？」と今度は顔を覗き込んで聞いてくる。私は「一応……」と自分でも覇気のないと思う声で返してしまった。
「おー、悪かったな朝から」
奥から声がして見ると、パソコンの前に立ったままキーボードを打つ冬島さんがいた。
「いえ、」と短く返して奥に向かう。
本部の研究室の一室。エンジニアが多く出入りするこの場所は、私はあまり来たことがない。
「隊長ー案内終わったんで俺帰っていーすか？」
「まあ待てって、解析してる間相当暇だろーから瀬野の相手でもしてやれよ」
当真さんの言葉に冬島さんはキーボードをいじりながら答えた。扉に向かいかけていた当真さんは若干面倒そうな顔をしながらも「へいへい」と答える。
「そーいやお前怪我いいのかよ？ 普通に歩いてっけど」
「今はトリオン体です」
「あーなるほどな」
当真さんはそう言って、その辺のデスクに付属の椅子にどさっと座った。
「ん？ にしては体調悪そうじゃねーか。トリオン体なんだろ？」
当真さんが私の顔をまた覗き込んで訊く。
「……ちょっと、精神的な問題で…….」
結局昨日は一睡もできなかった。一晩中ぐるぐるぐるぐる同じ場面がリピートされてはああすればよかったこれがいけなかったの反省会。ノイローゼになりそうだ。
「へー……お前でも悩みあるんだな」
当真さんが笑って言うから、私は思わず顔をしかめて「私のことなんだと思ってるんですか」と呟いた。
「瀬野、」
冬島さんの声がした。
「準備できたからこっちきてくれ」
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ゆう - とっても面白いです！！更新頑張ってください！！ (2023年1月29日 15時) (
レス) @page17 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
鈴音 - すごい素敵です…更新ずーっと待ちます！ (2022年3月6日 22時) (レス) @page17 id: 57ecee7250 (このIDを非表示/違反報告)
誕生日肉 - 米屋への対応と三輪とのこれからが気になります… (2021年5月31日 13時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - 良すぎて言葉になりません。 更新楽しみにしています。 応援してます。 (2019年12月5日 20時) (レス) id: 52a662140b (このIDを非表示/違反報告)
柚さん - 面白くって最初から一気読みしてしまいました！続きまってます！無理なさらずがんばってください！！ (2018年11月26日 23時) (レス) id: d92082f045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬野
| 作成日時：2015年7月19日 21時
