143.5episode はじめまして ページ1
三輪side
『ランク戦終了7−3瀬野勝利』
ビーという機械音の後にそう告げられた。
俺はその結果が表示されたボードを見上げていた。
スコーピオンのあの攻撃の多彩さ、シューターとしての規格外なトリオン量。
「……瀬野A……」
ボソリとそう呟く。
「……私になんか用？」
「……！」バッと振り返ると、さっきまで電子ボードに映っていたそのショートカットの黒髪がそこに立っていた。
「……あんた三輪秀次でしょ。よく米屋が……」
そこまでそいつが言った瞬間、「ぐえっ」と声をあげてそいつは呻いた。
「よー瀬野ー！」
嬉しそうに跳ねた聞きなれた声がした。
「あれ？ 秀次？ なんで？」
そいつ、陽介は俺に気づいて、それから不思議そうな顔でぱちぱち瞬きした。
「……おい米屋腕」
「ん？ あーわり！」
陽介がそいつの首に回していた腕を解除した。陽介が章平や後輩相手にそうする光景はよく見るが、女子にするのはどうなんだ、と不意に思った。
気づいたらバシッと音がしていて、そいつが陽介の背中を蹴った。
「痛って！ お前それトリオン体だろ！」
「うるさいな」
瀬野は面倒くさそうにそうあしらって、それからまっすぐ俺を見つめた。
「…………」
が、その視線とは正反対に、瀬野は口を開いたはいいが何も言わなくて、結局口を閉じて視線をそらした。
「……
「なにお前今日暇だっつってたじゃん」
「…………」
背を向けかけた瀬野がじろりと陽介を睨んでそれから、少し目を伏せて視線をそらした。
少しだけこちらに顔を向けた瀬野と、一瞬目があった気がした。
「……あんたは、お姉さんをネイバーに殺されてるんでしょ」
「……！？ なぜそれを……」
俺が思わず言うと、瀬野はちらりと陽介に視線を向けたが、陽介もまた反対側の空白に視線をそらす。
「……あのさ、」
瀬野の視線が俺に向いた。どこか苦しそうな、でも何かに恐れているような、諦めたような、よくわからない目だった。
「あんたはネイバーを憎んでる……？」
俺は軽く眉をひそめた。
なんだ……？ 声が、震えている。
陽介もその問いの真意がわからないようで、口を隙間開けたまま、瀬野を見ていた。
ヴーヴーとスマホのバイブ音が聞こえた。
はっと瀬野が肩を跳ねさせて、ポケット中のスマホを確認して、「迅さん……」と呟いた。
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ゆう - とっても面白いです！！更新頑張ってください！！ (2023年1月29日 15時) (
レス) @page17 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
鈴音 - すごい素敵です…更新ずーっと待ちます！ (2022年3月6日 22時) (レス) @page17 id: 57ecee7250 (このIDを非表示/違反報告)
誕生日肉 - 米屋への対応と三輪とのこれからが気になります… (2021年5月31日 13時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - 良すぎて言葉になりません。 更新楽しみにしています。 応援してます。 (2019年12月5日 20時) (レス) id: 52a662140b (このIDを非表示/違反報告)
柚さん - 面白くって最初から一気読みしてしまいました！続きまってます！無理なさらずがんばってください！！ (2018年11月26日 23時) (レス) id: d92082f045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬野
| 作成日時：2015年7月19日 21時
