旅行。1 ページ18
「『………』」
『何です?この空気は…』
首領室に呼び出された訳をさりげなく伺う。
「……それがねぇ…、この前の中也くんの功績があっただろう?」
知りませんが。
当然のように言ってくれる首領は少し困り顔だ。
例えるなら、何も考えずに口に出せば反感を買うような事をどのように口に出そうか考えている顔だ。
否、きっとそうなんだろう。
『其れが如何かしたんですか?』
「……怒らないかい?」
『話を聞かない限りお約束は出来ませんが…、問題の原因が首領でないのなら首領に食ってかかる事は有りませんよ。』
一体何を言おうとしているのか。
「…それがね、君に中也くんの休暇に付き合って上げて欲しいのだけど…」
私は毎度恒例にもなってきた顔から血の気を引く感覚を味わいながら声を出す。
『な……何故…です?私がいたら幹部は御休みになれないかと思いますが…』
「そんな事は無いよ。私が保障しよう。」
その保証よりも私はさっきの言葉の撤回が頂きたいのですが。
なんて言ったら首と胴体が離れる。
『………承知しました……。』
元々、この選択肢しか存在しない訳だ。
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そして、今に至る。
「……悪い、最初から泊まりに行くって言っときゃ良かったな。」
『いえ、何処に行くかを聞かなかった私も私ですから。』
急遽幹部の車で家に送ってもらい、明日の服と化粧品類を持ってきた私はそう返す。
何故恋人でも無いのに泊まりに行くか。
そんな問いはとっくのとうに捨てた。
如何して私がこんな奴と。なんて、首領を形だけ恨みながら私は車に乗り直す。
「じゃァ閉めんぞ」
『はい。』
私はロング丈のスカートを車の中に寄せ、エスコート慣れしている幹部にドアを閉めていただいた。
車の周りをぐるりと周ってから幹部が運転席に乗り込み、発車する。
『……ちなみに…』
「ン?」
幹部が目だけで此方を見る。
うん、いけめんだ。
『何故エスコート慣れを?』
「手前…絶っ対ェ解ってんだろ」
怨ましげに眉を顰められた処で、外に視線を向ける私はどこ吹く風だ。
まぁ少し揶揄った為に私の口元はニヤけているが。
マフィアとはいえ、色任務は有るし、珍しい話でも無いだろう。
私の様な方が少数派なのだ。
信号で車が止まった後、横から手が伸びてきてそっと私の顎を掴み…さりげなく幹部の方を向かせた。
「煩えよ。」
ニヤッとした顔が近いと私の頭が判断した時には口に柔らかい感触が有った。
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暁月臨(プロフ) - はわわわわわわわわわわわわ、、、、、!!好き過ぎます、、、!l更新頑張ってください!!! (7月15日 3時) (レス) @page26 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - 駄作上手さん» 謝らないでください!図々しくてごめんなさい!他の投稿も頑張って下さい! (6月11日 20時) (レス) @page26 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
駄作上手(プロフ) - 落蕾さん» 返信遅れてすみません。申し訳ありませんが、今は他に書きかけも書きたいものもあるのですぐに出す予定はありません…ごめんなさい (6月11日 8時) (レス) id: eb19c5f4a9 (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - めっちゃコメントしてごめんなさい。続編出しませんか?めちゃくちゃ読みたいです (6月5日 23時) (レス) @page26 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
落蕾 - メルヘンワード、ツボに入った (6月5日 23時) (レス) @page21 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:駄作上手 | 作成日時:2023年1月22日 17時