高く飛んだその後 (ページ2)

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｢うおっ！気になってたスポーツブランドのレディースウェア、Aさんがモデルしてる！｣

全日本チームの練習後、更衣室で着替えながらチェックしていたスマホの情報に目を丸めた。
バレーボールを持ったり、走ったり、ストレッチしたり。さまざまなポージングでウェアのアピールをしているAさんは、なんだかおれが知ってるAさんとは違うように見えた。

｢あぁ、なんか言ってたな。｣

おれの驚きに飄々とした様子で応えるのは影山だ。Aさんから事前に情報は得ていたようだが、影山の事だからそんなに興味が無いのかもしれない。
それにしても、影山のCMはまんま影山だったけど、モデルとして写真に収まっているAさんはなんだか本当にモデルみたいだと思った。

｢お前は見ないのかよ？今日情報解禁だろ？｣

｢もう見た。載ってる写真以外もな。｣

親切心で画面を向けるも、チラとそれを見ただけで影山は着替えを続行する。
もう見た。載ってる写真以外も。つまり、事前にAさんから見せてもらっているということだろう。

｢ずりーぞ！おれも見たい！｣

｢お前に見せる写真は無ぇ。｣

｢お前には言ってねぇよ！Aさんに見せてって連絡する！｣

モデル風Aさんの別ショット写真はふつーに気になるだろ！
ポチポチとスマホをいじってAさんにメッセージを飛ばす。
それを尻目に、影山はフンと鼻で笑った。
どーせAさんはシャイだからおれには写真渡さねぇとか思ってんだろ！

おれも、思ってる！！

けどダメでもともとだ！頼むだけならタダだから頼んでみる！そう意気込んで飛ばしたメッセージは比較的すぐ既読が着いて──……

『ちょっと恥ずかしいから、ごめんなさい…』

と返事が来た。

｢……｣

ちん、と項垂れるおれに、影山は｢ハンッ｣とさらに大きく鼻で笑う。
ちくしょう。これがおれと影山の差なのか。
影山まではいかないにしろ、Aさんとは結構長い付き合いで距離を縮められているはずなのに。

｢……なんや自分ら、女子チームのAちゃんと友達なん？｣

しぶしぶ着替えを続行するおれと勝ち誇った笑みを浮かべる影山に疑問を投げかけてきたのは侑さんだ。
同じ更衣室に居たものの、別の人と話していたから聞いていないと思っていたけど、おれ達の会話が聞こえたらしい。
侑さんと知り合って大分経つけど、確かに思い返してみればそんな話は1度もしたことがなかった。