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「A走って!モタモタしない!」

「はいっ!スミマセンッ」

次の日。
新山女子は順当に勝ち上がり、試合を控えていた。
応援席に荷物を置いてコートへと向かう。
今日は2試合ある。試合数が多いこともあり、コンディション調整に慎重だ。
私は試合に出ない分先輩たちのサポートに全力を尽くしていた。
両肩に提げたボールバックを抱え直し、走って先輩たちの元へと駆けつける。

「気になるのはわかるけど、Aはもう新山女子なんだから気合い入れな。」

「はいっ」

さっきは、ふとした時にすれ違う男子チームに気を取られてしまっていた。
烏野も今日は2試合。しかも、音駒戦からはじまるんだ。試合は多分、見に行けないと思う。だからこそ、少しだけ気がかりだった。
叶歌先輩たちが伝えてくれたのか、先輩たちは私に厳しくなった気がする。
きっとまだ編入していなければ、元マネージャーをしていたチームが同じ大会にいることもあって、大目に見てくれたり、気を使ってくれていたところもあったんだと思う。
でも、もうそんな気遣いはして欲しくないから。
指摘や指導一つ一つが、とても有難かった。

「……」

朝、ホテルを出る前。飛雄くんにはメールを送った。
「今日も全部勝って、明日も試合しよう。」シンプルに、ただそれだけ。
きっと、私が応援に行けないことはわかっていると思う。昨日までの私なら、合間を縫って少しの時間でも駆けつけたかもしれないけど、今はそうじゃない。

─ 1回でもプレーヤーやめようなんて考えたヤツに、負けるわけねぇだろ。

昨日の夜、飛雄くんに言われた言葉が、深く深く、胸に突き刺さっていた。
それはそうだと、言い返す言葉が何も浮かばないくらいに図星だったからだ。
だからと言って、それが努力を辞める理由にはならない。むしろ焚き付けられたくらいだ。
多分、飛雄くんは私がそうなるのをわかって言ってくれていたと思う。期待を込めて、言ってくれたのだと。
本当に飛雄くんには敵わない。いろんな意味で。

「っ、」

パチンと、両頬を両手で叩いて気合を入れる。
烏野vs音駒。気にならないなんて言ったら大嘘だ。正直めちゃくちゃ気になる。
でも、自分が気にしていられるほど余裕ある状態では無いことも理解しているから。

「お願いします!」

次は私がこの場でプレーするんだ。
その想いを噛み締めながら、コートへと続く扉をくぐった。



*****
あと2つ
Aちゃんの話ばかりですみません
来週はたくさん出てきます

第66話:物語のおわり→←2



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設定タグ:HQ , 影山飛雄 , ハイキュー   
作品ジャンル:恋愛
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しおり(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!ネタ考えます🤔 (2022年11月30日 8時) (レス) id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - マジで面白いです!いつも楽しみの更新待ってます (2022年11月27日 20時) (レス) id: e34fa82e55 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しおり | 作者ホームページ:http://nanos.jp/amakusa40/  
作成日時:2022年10月10日 21時

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