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九井「…そういや、今日花火大会か」
ココの何気ない一言が、大きなきっかけだった。
『花火…カーテン越しの花火が見たい。』
いつになく積極的な司を見て、少し驚いた。
梵天になってからの司は何にも興味を示さずに死んだ魚のような目をしていたから。
三途「なら俺が連れて行く」
場所は、一番眺めの良い都内のビル。
俺もこんな近くで花火を見るのは初めてで、カーテン越しとは言えその光景は圧巻だった。
『きれい』
そう呟いた司の横顔が、どこか懐かしく見えた。
…なぜだろう。その顔に、不快感を煽られる。
俺の好きな司の顔は、そんな顔じゃない。
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ああ、思い出した。
司は、ドラケンと居るときいつもこんな顔をしていた。
俺の嫌いな顔だ。
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三途「直接見た方が綺麗だろ」
『これがいいの。カーテン越しの花火は僕の思い出なんだ。』
知ってるよ。どうせドラケンとの思い出だろ。
あーもう、その顔やめろ。うざったい。
司が今いる場所は”此処”なんだよ。あの頃になんて戻れない。
戻れるものか。俺がさせない。
司はずっと俺たちから逃げられないんだよ。
『ねぇ、部屋の電気消し――…』
振り向いた司の言葉を無視し、その唇を塞いだ。
アイツとの思い出なんか興味ない。忘れさせてやる。
このキスで上書きしろ。
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しばらくすると、司の理解が追いついたようで
俺をか弱い力で突き飛ばした。
三途「…部屋の電気な。分かった。消してくる。」
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そうだよ。俺が見たいのはそういう顔だ。
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太陽 - みんなが幸せな未来を読んだとき涙が止まりませんでした。本誌もこうなったらいいのに、、、 (2022年6月3日 22時) (レス) @page39 id: ee08862b1e (このIDを非表示/違反報告)
ひー(比古)(プロフ) - えっ!待って好き!とりあえず好き (2021年9月25日 1時) (レス) @page35 id: f1c378431b (このIDを非表示/違反報告)
こうすけ - 作者さん天才かな?これ程まで自分の好みドストライクなものにはじめで出会いました。ありがとうございます、更新頑張ってください (2021年9月23日 23時) (レス) @page35 id: d00dc0a5fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:平 | 作成日時:2021年9月16日 22時