群青のヒロイン (ページ31)

今日:10 hit、昨日:3 hit、合計:87,795 hit

31.神宮寺先輩ページ31

「覚えてる？俺のこと」

「…あ、はいっ！」

ニコニコと貼り付けたような笑顔で私を見下ろす先輩。

この人確か、いつも永瀬先輩と一緒に居る…

「じん…じんのうち先輩」

自信が無く、ボソッと呟くように言えば、「ぶっ」と吹き出したじんのうち先輩。

あれ、もしかして違った？

「俺は神宮寺！神宮寺勇太だよ。覚えた？」

「すっすみませっ…！」

「んーん。全然おっけー。」

初めて会ったときも思ったが、なかなかチャラいなこの人。

ほどよく着崩してる制服に、キラキラしているピアス。髪だって明るい。

「いつも廉がお世話になってるみたいだね。」

「あ、いえっ！そんな…こちらこそお世話になってばかりですよ」

「えーそうなの？」

神宮寺先輩のペースのまま会話を続けていれば、突然後ろから腕を引かれた。

振り返れば、つならなそうな顔をした瑞稀が私を見つめてた。

「次の授業、遅れるよ。」

「あ、そっか。そうだね」

私は神宮寺先輩のほうを向きなおし「じゃあこれで失礼します」とペコリと頭を下げると、

神宮寺先輩も「またね」と手を振った。けれど、その視線は私ではなく瑞稀に向いていた。

それもすごく楽しそうな顔で。