恋はやがて泡になる。【灰谷蘭】 (ページ5)

今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:39,514 hit

05.電車ページ5

蘭「…ここ押して、そしたら切符出てくるから。」

『あ、なるほど！』

今度PASMO買ってやるか。なんて考えながら、切符の買い方を秋吉に分かるように説明してやる。

数百円の請求の画面が出てきて、俺が無言で財布を出すと『ダメです！私払います！』なんて言うからそれを無視して小銭をパラパラと入れた。

『…ありがとうございます。』

大抵の女は悪びれも無く「ありがとう♡」なんて言ってくるのに、目の前のコイツは本当に申し訳なさそうだった。

蘭「…べつに。」

そのままカードをかざして改札を通り抜けようとしたとき、後ろで立ち止ったままの秋吉が改札の前で突っ立っていた。

蘭「今度はどうした」

『あの…ゲート、開かなくて…なにこれ？』

見ると、秋吉は俺がカードをかざしていた場所に同じように切符をかざしていた。

俺は、改札の前でアタフタしているソイツを見て思わず吹き出した。

なるほど。俺がやってんの見て自分もこうすると思ったのか。

『どうすればいいですか！？』

蘭「くくっ…！切符はかざしても決済できねーから、そこに入れような。」

指をさして教えてやると、顔を真っ赤にして恐る恐る切符を入れた。

『あ、開いた！すみませんお待たせしました！』

蘭「おいおい切符」

『え？』

秋吉は切符を入れて満足したようで、そのまま出てきた切符を取らずに俺のとこまでトコトコ歩いてきた。

『あっ！こ、これ出てくるんですか！？』

そんなこんなで、終始笑わせてくれた秋吉だった。

こんな女、面白い通り越してむしろレアなんじゃね？

前から薄々思ってはいたけど、かなりの天然だろ。

やべー。おもしれー。