第百四十七夜 激痛。 ページ43
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「──うっ……」
そして更に半年後。彼女は二十一歳の艶やかな女性へなった。黄色の髪の毛が揺れる。
「ぁっ……」
裸体に軽く布を羽織るが、痛みに鳴く腰を押さえてベッドへ倒れ込んだ。隣に眠る恋人は未だ起きる気配はない。
「…………シンドバッド」
「……ん……」
彼の頬を軽く摘むが、彼の髪がさらりと落ちるだけで何も変わらなかった。こんな細やかな時間が幸せで、彼女は痛みなど忘れて微笑む。
「……ん?」
ちらりと窓から外を見れば、ピスティやシャルルカンが騒いでいた。
「……まさか」
彼女は顔を真っ青にする。シャルルカンが起きている? それは……
「昼過ぎか!!!?」
彼女が大声を出したせいで彼も目を覚ます。彼は寝惚け眼で彼女を見た。彼女は焦りで彼の頬を叩く。その痛みで目が覚めたらしい彼もシャルルカンを見るなり慌てて起き上がった。
「会議出てねえ!!! やべえジャーファルに怒られる!!」
「そんな場合ではなかろう!!! 午後から連合の話し合いが……!」
「うわあああああああ死んだ!! 俺終了!!」
かなり焦ったらしく髪を結い上げず出ようとしたので引き留める。髪を下ろしている姿は色気もあり美しいのだが流石に事後の様子が丸わかりだ。それだけはどうしても避けたい。
「髪を結え!!!」
「そんな俺も格好いいだろ!!」
「馬鹿が格好いいが流石にまずい!!!」
彼女は彼の髪を結う。
「ありがとな、行ってくるから怪我するなよA!!」
走り行く彼の背中を見送ると、今更腰の激痛が襲った。怪我はしないが今日は安静にしていたい。
「……何がとは言わないが、程々にしろよ」
後ろからヒナホホに言われて、廊下の端で踞っていた彼女は顔を上げた。
「べ、つに……」
「ジャーファルも今日は会議に遅れて来たぞ。全く若い奴らは……」
それは相当に熱い夜を過ごしたのであろう。あのジャーファルが遅れるなど聞いたことがない。
「……ヒナホホ殿、すまないが部屋まで運んではくれないか……?」
「三歩も歩けないほどなのか!?」
そんな気力は何処にも無くて、彼女はこくりと頷く。
「……どうすれば?」
「掴まってくれ」
彼女の問いに、彼は腕を差し出した。それに掴まると 直ぐに投げ飛ばされて驚けばベッドにしっかり落ち 体が沈む。流石だな、と思いながら彼女は微笑んで礼を言った。
「驚いたが、助かった。ありがとう」
「おう」
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乙姫(プロフ) - サキさん» 了解です! 有り難う御座います(^^) (2015年6月9日 18時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
サキ(プロフ) - 3番がいいです!! (2015年6月9日 16時) (レス) id: 2887baf917 (このIDを非表示/違反報告)
乙姫(プロフ) - ナウシカ@トラ猫さん» わかりました! 有り難う御座います(^^) (2015年6月8日 22時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
乙姫(プロフ) - magicさん» 有り難う御座います!頑張ります(`・ω・´) (2015年6月8日 22時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
ナウシカ@トラ猫 - 2か4、もしくは両方を合わせてくださるといいです!頑張ってください! (2015年6月8日 22時) (レス) id: 6b074dcab5 (このIDを非表示/違反報告)
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