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昔から友達がいなかったので、誕生日に誰かと遊ぶということはまずなかった。
だから、遥先輩が多少強引にでも誘ってくれたことは、多少嬉しく感じて、感謝している。
「シンタローくん、ここが家だよ」
遥先輩の声に、足を止めて視線を上げる。
その家は、きれいだったがどこか生活感がなく寂しげで、遥先輩のような雰囲気だった。
「さぁ、入っちゃって〜」
先輩が、鍵を開ける。妙に静かな家に、遥先輩の「ただいま〜」というのんきな声だけが響いた。
「ん〜、まぁ、とりあえず僕の部屋行こう。ついてきて」
「はい」
遥先輩について行きながら考える。
当然1人よりはましだけど、男2人でゲームする誕生日ってのも・・・
まぁ、遥先輩はオレの誕生日のことは知らなかったのだろうし、誘ってくれただけでありがたいが。
そんなことを考えてるうちに先輩の部屋の前と思われるところに着いた。
「えーと、じゃあ入るよ?」
オレはここで少し違和感を感じた。遥先輩が、なんだか緊張しているように見えて・・・
いや、考えすぎか。
先輩が、「先に入って」と言ってドアを開けたので、部屋の中に入ると、
「「シンタロー、誕生日おめでとう!!」」
少女の声が、2人分。
1人は、赤いマフラーのにこやかな少女。もう1人は、ヘッドホンを首から下げた目付きの悪い少女。
呆然とするオレに、先輩が笑いかける。
「どう?びっくりしたでしょ?・・・ふふ、おめでとう」
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作者名:☆天香☆ | 作成日時:2019年4月15日 21時