Wartime Karriere160 ページ8
リヴァイの上に乗っかったままのAは混乱していた。離れようとすれば掴む。が、おろそろ腕の力が弱まっていた。それを見計らったかのようにリヴァイはAの腕を引いた。
「っ！？」
そのまま抱きしめられる。
「…リヴァイ！」
「うるせぇ…さみぃんだよ。暖とらせろ」
Aの腕に力が入らなかくなった。リヴァイの言葉に心拍数が一気に上がる。抱きしめられ、リヴァイに聞こえてしまいそうなほどに。
「…寝るまでだ」
そういって背中を向ける。満足そうに笑ったリヴァイに何も言えなくなっていた。
一方、ハンジは戻ってきた書類を見てため息をついた。巨人捕獲作戦についての書類。毎度のことだが、なかなかゴーが出ない。しかし、珍しく保留の文字もあった。
「…A」
きちんと細かいところまで読んでアドバイスと改善点が書かれていた。ただし、容赦もないが。
「…純粋に生きてきたんだね。でなきゃ、普通は却下だったんだろうに」
独りでも保留がいれば書き直すことが可能になる。アドバイス通りに書き直していくと、驚くほど筋の通った話になっていた。なぜ必要なのかをわかりやすく簡潔に。実験方法はできるだけ詳しく。そうしていくうちに、書類は出来上がっていた。
「さすが！」
「分隊長、どうしましたか？」
副官のモブリットが紅茶を運んでくる。書類一つで大喜びするハンジが珍しいのか、しばらく観察するようにじっくり見ていた。
「…分隊長。少し落ち着きましょう」
「ん？あぁ、そうだね！」
ドカッと椅子に腰かけ書類を眺め続ける。が、すぐに頭がコクンコクンと動き出す。
「…はぁ、分隊長」
ベッドから毛布をかける。幸せそうに眠るハンジの口が終始怪しい笑みを浮かべていた。触らぬ神にたたりなし。さっさと部屋から出ていったモブリット。しかし、しっかりと書類を握りしめていた。
「…ん？モブリット、どうした」
「あ、団長。これ、ハンジ分隊長です」
「あぁ、そうか」
書類を受け取り、目を丸くする。却下されたと思っていたのか、驚いていた。
「そうか…Aか」
「えぇ。すごく喜んでいました」
「Aは公平に物事を決めるからな。いや…正しくは自分が正義だ」
「でも、話によれば…A副兵長は地下街で困っている人々を助けていたと…」
「それも孤独から逃げるためだろう。…っと、立ち話がすぎたようだね。すまない」
「いえ、おやすみなさい」
Wartime Karriere161→←Wartime Karriere159
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
６月ラビット(プロフ) - ミレンさん» そういえばこれ、5でした！またお話しましょう (2016年12月5日 19時) (
レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - ６月ラビットさん» おお、そうなんですか！６章もどんどん更新しますのでよろしくお願いします！また６にコメントください！ (2016年12月5日 19時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
６月ラビット(プロフ) - ミレンさん» やっぱりですか(笑)私も東京喰種好きですよ〜 (2016年12月5日 19時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - ６月ラビットさん» はい！喰種と、あと新兵四人組はBOF3の登場人物からです！＾＾；エトは完全に名前に困ってつけました…恥ずかしながら何かをもとにしか名前をつけられず、アバロンは車ですし＾＾； (2016年12月5日 19時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
６月ラビット(プロフ) - 東京喰種好きなんですか？何となく似た場面が…エトさんも… (2016年12月4日 23時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：御煉 | 作成日時：2015年12月31日 0時
