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Wartime Karriere194 ページ42

その日、壁の外に出た調査兵団は、ただならぬ雰囲気におびえていた。前回の壁外調査で巨人の群れに出くわしたことが、噂として広まったことが原因だった。

「…A、どうした?」
「…さぁ、な」
「らしくねぇ。前を向け」
「…了解」

いわれて初めて気づく。体が震えていることに。新兵なら珍しくはない。むしろ、堂々としているほうが不思議だ。しかし、何度も巨人を見たことのあるAが、戦ったことのあるAが怯えるのは不自然だった。

「旧市街地を出る!これより先は援護班の援護もない!みな、人類のために心臓をささげよ!」
「長距離索敵陣形、展開!!」

エルヴィンの指示によって陣形は開かれた。Aの班も動く。ハンドサインによって出された指示によってAの班は移動を開始した。左翼伝達および索敵。死亡率は高くはないが低くもない。新兵の班として一般的な位置。滅多に新兵が索敵を行うことがない。索敵を行う前に戦意喪失して逃げるか、死ぬからだ。果敢にも挑む者もいる。

『お前らが索敵をやるとkは僕が死んだ時だ。それ以外は何が何でも逃げろ。生きることを最優先にしろ。誰が何と言おうと守』
『では、A班長…?俺たちはただついていけばいいと』
『情報伝達はやってもらう。当然だ」

Aは死なないことを大前提とした説明をした。逃げるのも一つの選択だと教えた。しかし、次の言葉にAはつまった。

『…では、A班長は誰に守ってもらんですか…?』

ニーナの言葉にAの表情が変わった。

『私たちが索敵をしないためには、貴方を誰かが守る必要があるのでは?』
『自分でそれぐらい…』
『何言ってるんですか!そんなの無茶ですよ!!』

半泣きでいうニーナに、Aは頭をかいた。なんていえばいいだろうか、と考えていた。

『あのな、僕はあくまでお前らを無事に行って帰すことが任務なんだ。腕の一本や二本食われたぐらいじゃ関係ねぇよ』
『しかし…』
『だがな。お前らは迅速なな判断と行動をしてくれれば僕の命も助かる。そのために逃げろと言っている。訓練をしている。わかったな?』

それぞれの顔を見てAは言った。それぞれが小さくうなずいた。

(行って帰ってこれれば一人前。…それを当たり前にしてやろうじゃねぇか)

思い出して笑った。新兵のくせに自分を守りたいといった部下に感謝した。正体を知った今でもついてきてくれる4人を死なせたくないと願った。

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6月ラビット(プロフ) - ミレンさん» そういえばこれ、5でした!またお話しましょう (2016年12月5日 19時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 6月ラビットさん» おお、そうなんですか!6章もどんどん更新しますのでよろしくお願いします!また6にコメントください! (2016年12月5日 19時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
6月ラビット(プロフ) - ミレンさん» やっぱりですか(笑)私も東京喰種好きですよ〜 (2016年12月5日 19時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 6月ラビットさん» はい!喰種と、あと新兵四人組はBOF3の登場人物からです!^^;エトは完全に名前に困ってつけました…恥ずかしながら何かをもとにしか名前をつけられず、アバロンは車ですし^^; (2016年12月5日 19時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
6月ラビット(プロフ) - 東京喰種好きなんですか?何となく似た場面が…エトさんも… (2016年12月4日 23時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:御煉 | 作成日時:2015年12月31日 0時

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