Wartime Karriere191 ページ39
薬を持ち帰り、すぐさまAに処方する。
「…A、飲め。薬だ」
「ンっ…く…すり…?」
「あぁ。今は何も考えずに飲め」
口をわずかに開ける。薬を飲ませ、しばらく様子をうかがう。
(…これでダメなら、腹をくくるしかないな)
拳に力をこめる。薬がいつ効くかもわからない。どんな副作用が出るかもわからない。すべてはA次第。
(…薬が治すわけじゃない。お前が教えてくれたことだA。だから…さっさと治して元気になれ)
一方、リヴァイとアバロンはエリオに入るなと言われ、木の下の木陰にあるベンチに腰を下ろしていた。
「…なあ、アバロンよ」
「なんですか」
「俺はな…時々迷う時がある。その選択が間違ってねぇか…こんな俺でもな」
「あんたが…ですか」
「俺とて人の子だ。…だがな。立場がそれを許さない。アイツも、人に弱さを見せるのが何を意味するかをわかってる。お前もだろ?アバロン」
「…なぜ、そう思ったのですか?」
「アイツが女として生きることをやめたのを見たのはお前だけだ」
リヴァイの声は静かだが力があった。反対にアバロンは自信のない響きだった。
「俺は…すみません。何でもないです」
「言え。…そうだな。俺を信用しろとは言わん。だが…ここにいる以上は多少は信用してもらう必要がある」
「わかってます。…いえ。信用してないわけじゃないと言ったら嘘になりますね。そりゃ…でも、Aが認めているのなら俺も平気です。なんか…変な言い方をしてしまうと、兄貴みたいなんです」
「兄貴…か。悪くねぇ」
ククッと笑う。が、すぐに真剣な顔に戻す。
「リヴァイ兵長。俺はAを渡すつもりはありません。でも…正直、今こうしてAが無茶して、みんなでとめて、説教するリヴァイさんを笑ってるほうが楽しいと思っています。…アイツが一番幸せそうです。俺はあなたに負けました。だから、もしあなたがAを苦しめるなら容赦はしませんけど、それ以外は応援してます」
「…そうか」
短く答える。リヴァイは驚いていた。それを見てアバロンが噴出した。
「なんででしょうね…正直、最初は憎くて仕方なかったのに。…Aを変えたのがあんただって思ってた…でも、確かにAを変えたけど…それは、いいほうに変えてると思ってます」
静かに言い切ったアバロンの顔は、本音だと示しているかのように晴れ晴れとしていた。
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6月ラビット(プロフ) - ミレンさん» そういえばこれ、5でした!またお話しましょう (2016年12月5日 19時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 6月ラビットさん» おお、そうなんですか!6章もどんどん更新しますのでよろしくお願いします!また6にコメントください! (2016年12月5日 19時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
6月ラビット(プロフ) - ミレンさん» やっぱりですか(笑)私も東京喰種好きですよ〜 (2016年12月5日 19時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 6月ラビットさん» はい!喰種と、あと新兵四人組はBOF3の登場人物からです!^^;エトは完全に名前に困ってつけました…恥ずかしながら何かをもとにしか名前をつけられず、アバロンは車ですし^^; (2016年12月5日 19時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
6月ラビット(プロフ) - 東京喰種好きなんですか?何となく似た場面が…エトさんも… (2016年12月4日 23時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御煉 | 作成日時:2015年12月31日 0時