Wartime Karriere166 ページ14
Aの質問に先ほどまでの余裕な顔は消え失せていた。そこでAは思い出す。以前、ペトラに突っかかっていた男だ。ミケの顔が険しくなる。ハンジも冷ややかな顔をしていた。エルヴィンのみ、表情が変わっていなかった。
「ガキだのゴロツキだの僕のこと言うのは勝手ですが…ハンジは正規の訓練を受け、成績を残した立派な兵士です。頭もよく、彼女の発想は僕らにないものだと思います。あなたに、ハンジ以上の発想力…または、今この状況を打開する案があるなら提示していただきたいと思う」
Aが見下すように視線を向けた。何も言い返せなくなった男―――ガシュ・ガーランドはうつむいたまま何も言わなくなった。
「団長。僕はハンジの案に賭けてもいいと思います。確かに被害が多く出てしまうでしょう。しかし、ただ食われて何も得られずに無茶苦茶に拠点を作っても意味はない。そう思います」
そういってAは話を終わらせた。エルヴィンの瞳が興味深そうに光った。ハンジとミケは驚いていた。的確な判断、自分の意見を曲げない芯の強さ、ツッコミどころのない完璧な話。
「…A」
エルヴィンは、重く太い声で呼ぶ。先ほどまでの団長呼びと敬語が嘘かのように生意気な顔つきになっていた。
「犠牲を覚悟して知識を得るのと、我々が拠点を作るのと、どちらが先に全滅すると思う」
「…ものにもよる。おそらく、どっちも半々」
「そうだ。どちらも半々だ。だが、知識を得るために死んでいった兵士が多ければ…調査兵団は解体となる。わかるね?」
何も言い返せなかったAの意見にエルヴィンがそれ以上の力で切り込んでいく。軽く圧迫面接状態だ。
「そうですね。速く死ぬか、遅く死ぬか…もしかすれば、今のままでうまくいく可能性もある。だけど、考える余地もある。だからこその保留だ。いつか…ハンジの言うことが正しいと証明されたとき、考え直せるように」
「今は、それを行うべきじゃない」
「…僕とハンジが証明できれば、考え直すのですか?」
いつの間にかAの顔は必死さと怒りと真剣さと苛立ちと…訳の分からない顔になっていた。止めようにも止められない空気に誰もが黙っていた。
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6月ラビット(プロフ) - ミレンさん» そういえばこれ、5でした!またお話しましょう (2016年12月5日 19時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 6月ラビットさん» おお、そうなんですか!6章もどんどん更新しますのでよろしくお願いします!また6にコメントください! (2016年12月5日 19時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
6月ラビット(プロフ) - ミレンさん» やっぱりですか(笑)私も東京喰種好きですよ〜 (2016年12月5日 19時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 6月ラビットさん» はい!喰種と、あと新兵四人組はBOF3の登場人物からです!^^;エトは完全に名前に困ってつけました…恥ずかしながら何かをもとにしか名前をつけられず、アバロンは車ですし^^; (2016年12月5日 19時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
6月ラビット(プロフ) - 東京喰種好きなんですか?何となく似た場面が…エトさんも… (2016年12月4日 23時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御煉 | 作成日時:2015年12月31日 0時