【進撃の巨人】地下街出身の少女と地下街出身の兵士長 Kapitel２ (ページ9)

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Blutige Vergangenheit1 ページ9

(Blutige Vergangenheit＝血塗られた過去)

Aがまだ、地下街に住み着いて間もないころ。リヴァイとAが出会う少し前のお話。

Aが住んでいた家にはたくさんの本があった。Aの髪の毛も長く、腰位まであった。一般人が呼んでわかる内容から、わからない内容まで。父親が医者であったAは、父親の命令で手伝わされていた。逆らったら、ひどいことされるから。両親が殺された時、Aは行く当てがないことに気がついた。

「…どうしよう」

たまたま見つけた地下街でAは生活した。食料は盗んだ。何度も見つかって走って逃げた。そうしてる間に、地下街には医者がいないことに気がついた。

「ふー…ふー…ッ」
「大丈夫？」
「…お嬢ちゃん…水…」

たまたま通りかかった場所で出会った男に水を与える。それでも男はつらそうに呼吸をしていた。

「おじさん、病気？」
「さぁ…ね。医者が…いないから…しらないな」
「…見せて」

脈をとって、体温を確認する。熱がかなり高かった。

「痛かったら言って」

男の右上の腹を軽く抑える。

「うっ…」
「痛い？」
「うん…」
「吐き気は？」
「最近はずっと…」

Aの顔は疑いから確信に変わった。

「…虎殺し」
「…？」
「おじさん、近くで似たような症状の人はいない？」
「…何人か」
「おじさん、ちょっとついてきて」

辛そうな男に肩を貸しながら連れて行く。家から持ち出した父親の持ち物から、採血セットを取り出す。針を刺し、血を抜く。すぐに消毒をしみこませた綿で傷口を消毒した。抜き取った血を真空採血管用ホルダーに血を移す。

「おじさん、しばらくは賭け…私が薬を作れれば治るし、間に合わなければ死ぬ。だからがんばって」

そういうとすぐにAは採血した血で実験を始めた。父親が残したものが役に立った瞬間だった。着々と準備を整えていく。手探りであること、勘に頼っている状態で、とりあえず一つ目の試薬ができた。

「…強く手を握って」

血管を浮きだたせて針を刺していく。ゆっくりと、試薬を入れていく。

「…これ、とりあえず飲んで」

渡したのは解熱剤と鎮痛剤と頓服薬。

「今、ここで解熱剤と鎮痛剤は飲んで。この二つは朝起きたら一回一錠飲んで。頓服薬は症状が出た時に飲んで」
「君は…」
「藪医者。治る確率は低い。ここは私の根城だ。動けるようになったらどこにでも行っていい…。ただ、私が認めるまでは一切の出入りを禁止する」