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Wartime Karriere54 ページ7

「じゃぁ結構最近だね。調子は?」
「普通」
「心は?」
「…は?」
「俺には嘘は付けないぞ。秘密は見抜けなくても嘘を見抜くことはできるからね」

エリオは真剣な眼差しでAを見つめた。Aはため息をついて降参、というように手を振った。

「もうすぐ…口減らしが行われるのはしってるか?」
「まぁ、怪我人の対応とかの都合で話は…」
「…僕も参加する」
「は?」

エリオの口がポカンと開いたままになった。

「え…でも…お前の実力で特攻か?」
「僕の役目は、口減らしだということで民衆の不満を買わないように、必要最低限の兵力を確保すること。だから、特攻なんかしない…けど、僕が返ってくる保証もない…誰にも…必ず生きて帰ってこられる保証なんか…ない」

Aの声が段々と小さくなっていった。エリオは、棚から缶を取り出し、中に入っていたキャラメルをAに差し出した。

「それはわかったけど…俺には、そんなことで悩んでいるようには見えない。だって、シガンシナ区で無茶をやったやつが、奪還作戦に行かされるだけで落ち込むとは思えないからな」
「…まぁ、な。そりゃ、奪還作戦って名前がついてる以上は、巨人を殺しに行く…でも、怖い」
「死ぬのが?」
「いや…リヴァイの言うことを聞かずに僕は勝手に行くと言った…リヴァイに嫌われた」
「…そんなことで」
「なっ…」
「そんなことで悩んでるなよ!今すぐ謝れば済む話だろ。そんなことで悩んで命を落とすなよ…」
「エリオ?どうしたんだよ」

Aがエリオの肩に手を置こうとする。すると、エリオにいきなり手を掴まれた。

「なっ、エリオ?放せ…っ」
「頼むから…絶対に死なないでくれ」
「…は?どうしてそんなに僕のこと心配するんだよ…」
「この…鈍感」
「え?」

Aの顔がキョトンとする。エリオはため息をついて自嘲気味に笑った。

「お前が好きだからだ」
「…は?いや、だって…」
「女だってのはすぐに気付いた。筋肉の付き方、骨格、体温…医者ならわかる」
「…ちょっと待ってよ…僕は…」
「でも、俺はあの人には勝てない」
「…?」
「Aの頭の中にいるのは常にリヴァイさんだ」
「そりゃ、家族だし…」
「違う。…気づいてないだけだ。いや、否定してるんだ。もし認めてしまったら関係が崩れるのが怖くて」
「違う!…違う…僕は…」
「…自分に素直になれよ」

エリオはジッとAの顔を見つめていった。

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カナタ - ページ25の力強いな、が、血からになっています (2017年6月14日 17時) (レス) id: f50bbbd9e0 (このIDを非表示/違反報告)
ミカサ - 面白い…更新した。 (2017年6月2日 0時) (レス) id: aea40fe94e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:御煉 | 作成日時:2015年9月3日 23時

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