【進撃の巨人】地下街出身の少女と地下街出身の兵士長 Kapitel２ (ページ45)

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Blutige Vergangenheit38 ページ45

「な、なに！？」

上官らしき人物は、すぐさま撤退命令を出す。

「さて…後はアバロン次第か」

憲兵が立ち去り、Aは、いつもの仕事の服に着替える。上に行けば、わざと滅茶苦茶になった酒場でアバロンが憲兵に事情聴取をされているだろう。そこで、Aが地上で逃げ回り、時期を見計らって地下街に戻る、という魂胆だ。

(そろそろか？)

地上に上がり、酒場を目指す。すると予想通りアバロンが憲兵に話をしていた。アバロンの父親も協力していた。

(あちゃ…めっちゃ派手にやってくれたな)

者が壊れない程度に、と書いたはずが、ガラスは割れ、机が壊れ、グラスが散らかっていた。ふと、アバロンの目線がこちらへ向く。それに気がついた憲兵が異性に追いかける。Aは地上を走り回り、逃げる。

「な、なんだアイツ…追い付けない…」
「立体起動は！」
「修理費のがかかる！このまま追え！」

マヌケで落ちぶれた憲兵たちは、自分たちの損を嫌う。そのため、簡単にAは逃げ切り、人のいない場所で違う服に着替えていた。アバロンに頼んだ地上の私服。

「懐かしいって程、記憶はないが…気持ち悪いほど着心地いいな」

何事もなかったかのように歩き、憲兵の動きを見る。四方に散らばり、全く連携のとれていない憲兵たちは、やみくもに探し回り、最終的には諦めて帰って行った。

(はっ、この程度で僕らを捕まえようなんざ、おこがましい)

鼻で笑い、酒場に向かう。Aに気がついたアバロンは、壊れた椅子を置き、駆け寄ってきた。

「よう！いきなりでびっくりしたぜ」
「悪いな。…しかし、壊れねぇ程度って、書いたはずだが？」
「Aが手を抜くわけないだろ？本当は店一軒、破壊しなきゃなんねぇぐらいだ」
「…そんな無駄なことしたことねぇよ」
「やるとしたら、だ」
「やらねぇよ…ったく、無駄に壊しやがって。親父さんが大変だろうが」
「いや、親父は結構楽しそうだったぞ？」
「…あっそ」

どこまでも呑気な友人にAはため息をついた。おそらく巨人級。ふと、アバロンが真剣な顔になる。

「お前、今日の事件で憲兵に常に狙われるぞ。大丈夫なのか？」
「あぁ。奴らにつかまるほど僕は弱くはない。…ただ、僕のせいで捕まる仲間もいるだろうな」
「…あぁ」
「あと、憲兵じゃなくても…妙に鼻の利く奴らは厄介だな」
「いるのか？」
「あぁ。僕らを捕まえきれないせいで憲兵は調査兵団に頼んだりするだろうな」