【進撃の巨人】地下街出身の少女と地下街出身の兵士長 Kapitel２ (ページ32)

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Blutige Vergangenheit25 ページ32

あれから数か月たった。アバロンはAと別れて地上で酒場を父親と営み、Aは地下街では有名な暗殺者となっていた。あれ以降、リヴァイたちのもとにAは行くことはなく、お互いに目に見えない何かで遮っていた。

「や、やめてくれっ…俺は死んでもいいってのか！悪魔だ！」
「否定はしない。さぁ…聞こう。お前の魂、どれくらいの価値がある？」

このころからAは、本当に優先すべき命は何かを考えた。そして、人の魂の価値を問いかけることで、自分が奪おうとしている命の価値を背負っていた。男の首を掻っ切ったナイフを見つめる。

「…ごめん」

そっとナイフを手首に当て、わずかに素早く動かす。手首からは血が流れて伝っていった。包帯を取り出し、丁寧にまいていく。新しくない、古い傷跡も含めて。包帯が巻き終わり、自分の住処に戻る。憲兵に悟られぬように何度も場所移動を繰り返していた。それでも自分が受け持っていた患者の家に出向いては、悪党から奪った金を渡していた。

そんなAの生活を変えたのは、ある依頼だった。Aは殺しをしてすぐに根倉に戻ろうとした途中、突然声をかけられた。当然仮面をかぶっている。

「…商人の暗殺？」
「へぇ、貴方様の腕を見込んで」
「だが、こいつは地下街の人々に迷惑かけていない。何もしてない人間は殺せない」
「へへぇ…そんなこと言いやすと、あそこの女殺しやすぜ」
「…は？」

Aの元にいきなり押しかけてきたのはボロキレ同然の服を着た男だった。男が合図をすると、何者かが出てきた。よく見ると少女を捕まえている。

「…脅しか」
「そうでもしねぇとあんたは動かねぇんでね」
「なるほど。関係のない普通の人間を巻き込んでまで、あんたらはなぜ殺したい？」
「そいつがいると俺達の商売が邪魔なんでね。消えてもらわないと死ぬんだ」
「勝手に言ってろ」
「おわっ！」

Aがその場から立ち去ろうとすると、少女に向けて男がナイフを向けた。

「殺すぞ！」
「やればいい。憲兵に見つかって死ぬだけだ。それか、ギャングか」
「…なんだっていい！」
「…うるせぇな」

Aは仮面を外し、腰につけていたナイフを取り出し、少女を捕まえている男の首狙って投げる。見事に突き刺さったが、致命傷にまではいたらない。予備のナイフでボロキレ男にナイフを向ける。

「っ…あ、あんた…」
「なんだ」
「悪魔だ…なぜ、そこまで無表情で人間が殺せる…人形だ…血まみれ人形だ！」